【写真】鬼気迫るという表現が生ぬるく感じられた追い込み練習だった(C) MMAPLANET
11月1日(日)に東京都港区のニューピアホールで開催されるダブルヘッダー=DEEP98&DEEP99。夜の部=DEEP99のメインが元谷友貴米山千隼に決定した。
10月23日(金)発売のFight & Lifeでは、元谷戦に向けて追い込み練習を行う米山は取材。
記事にあるように、鬼気迫るというような表現が生ぬるく感じられるような追い込みよう──このままで精神に異常を来たすのではないかと危惧されるほど、肉体とメンタルをギリギリにまで苛め抜く米山の息が整うのを待ち、元谷戦、これからについて尋ねた。
ここでは、元谷戦と元谷というMMAファイターについて、どのように思っているのかを抜粋(要約、加筆)してお届けしたい。
──どういう気持ちで、この追い込みの5分5R=25分間をやり切っているのでしょうか。
「始める前は『やるしかない』とか自己暗示を凄くかけています」
──このハードな練習は当然11月1日に元谷友貴選手との一戦に向けてでしょうが、「元谷に勝てないぞ」という周囲の声が、「そんなじゃUFCに行けないぞ」という声に変わりました。
「そもそも僕はUFCに憧れてUFCに行きたいと思ったわけではないです。強くなりたいと思った時にUFCを目標にすれば強くなれると思って、UFCを目標にしました。それが自分のなかに刷り込まれています。だから折れそうなときに『UFCに行けないぞ』と言われると、体が動くようになります。
疲弊した時に、その言葉が聞こえ一瞬でも考えることができるなら、何とかやり切れるメンタルになります。正直なところ元谷選手に勝っても、それでUFCと契約できることはないと思っています。なので、この試合に勝ってからということだと、僕はACAやBrave CFを考える必要があります」
──とはいえ、これだけの追い込みしているのですから、元谷選手との試合を軽視しているわけはない。そのうえで元谷戦後を考えているわけですね。
「今、海外に行ける状態でないことは分かっています。でも1年間も試合間隔が空いてしまった。その一方で、この状況でも試合をしている人は実際にいます。世の中の流れもありますが、僕も無理やり戦おうと思ったらできていたのにやらなかった。それもあって、もうこれ以上先に延ばすことはできない。僕は知らなかったのですが、年末のRIZINで井上直樹選手が元谷選手と戦うという話があるなかで、僕に元谷選手と戦わないかという話がきた。DEEPで一番強い選手ですし、すぐに『やらせてください』と返事をしました」
──元谷選手は申し分のない相手だということですね。
「UFCへ行く云々ではなく、僕が今持っている実力で試合に出る、その相手として最高の選手だと思っています。でも元谷選手にカツカツの試合で勝ったからといって、UFCに行けるとは思っていないです。だからといって今の僕の力で元谷選手を圧倒できるのか……、できないのかっていうのは、試合をしてみないと分からないことですし。とはいえ客観的に考えて、全てを出し切れる相手です」
──これまでのキャリアのなかで一番強いという意識はありますか。
「あります。そういう意識は。だからこそ、ここで躓いているようではUFCはないです。ジムで立ててもらっている作戦は、しっかりと判定でも勝つというものですが、僕自身……心のなかでは、フィニッシュしないといけない相手と捉えています。僕の個人の想いですけど」
──ところで昨年10月の石司戦の前に、「石司選手と圧倒的な違いは勝利への執着心であり、そこが差になる」と言っていましたが、今回の元谷選手と自分自身の違い、そして試合に置いて差になると考えている部分はありますか。
僕の勝手な想像ですが、元谷選手の試合を見たり、インタビューなんかを読んでいると、僕とは違い試合用の自分なんか創る必要がなく戦える人だと思います。石司選手には勝利に対する執念が足らないと言ったのですが、元谷選手の勝利に対する執念は無意識なモノじゃないかと。その執念を創ってきて、試合に臨んでいるのではなくて、もともと備わっている。
だから勝負すべきところで勝負できて、最後の最後でも勝ち拘ることができます。対して僕は生まれながらそういうモノが備わっているわけでもなく、学生時代にそういう勝負をしてきたわけでもないです。格闘技を始めてから、勝つためにソレを備えてきました」
──いわば元谷選手の執念は天然モノで、米山選手は人工的だと。
「ハイ。僕と元谷選手の勝利に対する執念は種類が違うというのは凄く感じます」
──天然と人工的、どちらの執念が強いのでしょうか。
「元からあるモノがどれくらいのモノかは分からないです。でも元から備わっているモノよりも、自分が創ってきたモノの方が上回ることができる……いや、分からないですね、そこは。今、僕が言えることは11月1日までに元谷選手が元々持っている勝ちへの執念を上回れるモノを創ること。そうできる自信はあります──ということですね」
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