【写真】blooM&TEAM AGENT、OKAYAMA TOP TEAMのメンバー(C)SHOJIRO KAMEIKE
11月3日(日)、岡山県笠岡市の笠岡市民体育センターで『Giant Killing02』が開催された。
Text by Shojiro Kameike
『Giant Killing02』とは既報どおり、前Wardogストロー級王者のMAGISAが、地元で開催する町おこし格闘技イベントだ。笠岡市は岡山県の南西部、広島県との県境に位置する。現在は漫才コンビ「千鳥」の出身地といえば分かる人も多いだろう。
笠岡市は、MMAに関していえば未開の地といっても過言ではなかった。岡山市、倉敷市といった岡山県内の都市から離れ、お隣には広島県第二の都市である福山市が存在する。MMAを練習するとなれば、岡山市か倉敷市、あるいは福山市のジムや練習会に通うしかない。主催者であるMAGISAのMMAキャリアのスタートも同様だった。
そんななか2年前にMAGISAが地元でMMAジムblooMを設立し、さらにイベントも開催するようになった。この新しい動きから考える、日本MMAの未来に必要なものとは。
岡山県と広島県のMMAにおいて、プロ修斗興行『TORAO』が果たした役割は大きい。岡山県北部の津山市でアマチュア修斗イベントとしてスタートし(当時は闘裸男と漢字表記だった)、2005年からプロ修斗も行われるように。その後は四国、山口県、そして福岡県まで開催エリアを広げていった。アマチュア修斗ならびにJBJJFブラジリアン柔術大会の開催が、その礎となった。今大会の主催者の一人であるMAGISAもキャリアの序盤でTORAOに出場している。
一方、当時はアウトサイダーブームもあり、日本各地で多くの地下格闘技イベントが開催されていた。今でこそ地下格闘技出身ファイターがRIZIN等で活躍する姿も見られるが、何より地下格闘技に限らず安全性に欠けたイベントが問題視されたことも事実だ。同時に会場内での素行の悪さから、各地で会場が使えなくなるという問題も発生する。岡山県も例外ではなかったが、MAGISAによれば「会場が使用できなくなったことで、岡山県内で地下格闘技がなくなった。あるいは存在が聞かれなくなった」という。
前述のとおり、安全性に欠けたイベントを容認することはできない。一方で地下格闘技をキッカケとして、本気でMMAに取り組み始めた若者も多い。今回のGiant Killingでも、かつて地下格闘技で戦ってきたと思われる選手が多数出場していた。しかしながら――これはアウトサイダー&地下格闘技ブームの頃から各ジムで言われていたことだが――技術を培いながらも、スタミナやフィジカル面で至らない選手が目立つ。
MAGISAは自身のジムbloomでも、会員は3つの層に分かれるという。それは①プロを目指す層②趣味の一般会員層③地下格闘技に出ていた層だ。今大会でMMAの試合に出場していたのは③に当たるとMAGISAは説明する。キックボクシングの試合では、コメントを求められたスペシャルゲストの安保瑠輝也が、「もっとスタミナをつけてから……」と明言する場面もあった。リーチ、間合い、当て勘——全てにおいて優れた面を見せながら、彼らに足りないものは明白だった。
そのなかでblooMとTEAM AGENTの合同練習会「OKAYAMA TOP TEAM」に参加している選手は、ジュニアの試合から違いを見せている。この日、ジュニアについてはキックボクシングとボクシングルールの試合のみではあった。しかしOTTでは基本的にMMAの練習を行っている。この日もMMAの対戦相手をマッチメイクすることができず、打撃の試合に出場することになった。とはいえ組みの練習によって体ができている点は大きい。この日試合に出場しなかったOTTのメンバーからも、12月1日に神戸市立王子センターで行われる「全日本キッズ/ジュニア修斗選手権大会」への出場があるという。こうして日本全国で地域密着の格闘技が子供たちを育て、アマチュア大会を経てプロの試合に出場する時、Giant Killingの雰囲気も大きく変わるだろう。
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