【写真】こんなにあっさりと決着がつくとは……そんなショッキングな試合になったリネケルベリンゴンだった (C) ONE
過去1カ月に行われたMMAの試合から青木真也が気になった試合をピックアップして語る当企画。
背景、技術、格闘技観──青木のMMA論で深く、そして広くMMAを愉しみたい。そんな青木が選んだ2020年11月の一番、第一弾は13日に中継されたONE 113 Inside the Matrix03からジョン・リネケルケビン・ベリンゴンについて語らおう。
──11月の青木真也が選ぶ、この一番。まず第1試合目は?
「ジョン・リネケルケビン・ベリンゴン戦ですね。まぁ、成績としては当然の結果じゃないですか。ただ、あれだけしっかりとKOという結果が残るとショックはショックです」
──この試合もまさにというか、タン・リーマーチン・ウェン以上にUFCファイターがONEに参戦して、北米の世界観がONEの世界観を駆逐した試合となりました。
「リネケルがムイン・ガフロフと戦った時は、跳ねた試合ではなかった。だから本調子でなくて、ベリンゴンの目もあるかと思っていたんです。水抜きなしの計量に慣れていなくて、調整面でも不安は残っていたし。だから、あるのかと……にも関わらず、ハッキリと結果が出ましたね。最後もノックアウトというよりも、ゴメンナサイ感がありましたし」
──嫌ダウンか、痛ダウンかと。
「そうでしたね。ベリンゴンってタフで、殴り合いに長けた選手だったのが、ああなる。ビビアーノ・フェルナンデスとあれだけやりあっていて……ビビアーノはDREAMのチャンピオンからUFCと契約まで話があったのに、うっちゃってONEを選んだ選手だったから」
──いわばランク15位とかでなく、あの当時ですがトップ5級の活躍が見込まれていました。
「そういうベリンゴンが、ここでリネケルに負けたことでONEのストーリーラインもゴチャゴチャしてしまいます。リネケルのUFC的な世界観を持ちこんできたから、話がおかしくなってしまって」
──そもそもリネケルとONEの契約に関しては、DJやエディ・アルバレスと違い、なぜその必要があるのかと思ったのも事実です。ヴィトー・ベウフォート然り。ブラジル大会でも狙っていたのかと。
「謎でしたね。なぜ、この世界観を持ちこむのかって。米国でTV中継を始めたことで、北米や南米開拓というのはあったのかもしれないですけど、謎だった。
リネケルに関してもUFCでのレコードは良くても、ここ一番に負けている選手ですからね」
──計量ミスが多く、実は水抜き無しの1階級上というのは合っているのかしれないです。水抜きありで65キロだと、対戦相手ももっと大きくなってしまうので。
「あぁ、それですね。ムイン・ガフロフと戦った時はジャカルタだったから、コンディションも悪かったのかもしれないですね」
──う~ん、旅の疲れでなければブラジリアンは東南アジアで戦うのは苦ではないような気がします。ビビアーノも「マニラはリオみたいだ。気候もフルーツが多いのも」って言っていましたし。
「あぁ、なるほどぉ。そうかぁ……高温多湿で。なら、あの時はやっぱり減量の仕方がまずかったのかな」
──そのビビアーノが、リネケルの挑戦を受けることになるかと思われます。
「なると余計におかしくなりますよね。ビビアーノがチャンピオンでブラジル人同士だし……」
──おかしいと感じるのは、青木選手にとってONEという戦いの場はどういうモノだったのでしょうか。
「ONEの面白さって、北米的な世界観が入らない面白さだった。僕がONEで戦うようになった時は北米の物差しが一切なかったから。そういう面白さ、ワクワク感。要は鎖国された世界観があったから面白かったんです。それがグローバル……全ての価値観を、北米を含めた世界に当てはめるようになりましたね」
──飲み込まれないためには、勝たないといけないんですよね。
「この負けは分かっていたことだけど、ベリンゴンはスクランブルが強く、蹴りもできる選手でタフだったのに……。しっかりと北米に侵食されるようになってきましたね」
──私などは勝手ながら、元UFCやBellatorのライト級の選手がONEにロースターに加わって青木選手と戦うようなことがあれば、それは楽しみですよ。
「それは良いかなって思います(笑)。ONEの世界観でなく、僕の世界ですけどね」
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