【ONE114】ゲイリー・トノン戦から3週間、松嶋こよみ─01─「やられないイメージでやりすぎていた」

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【写真】松嶋こよみの打が、ゲイリー・トノンの組みの圧力に敗れた(C)ONE

4日(金・現地時間)、シンガポールのシンガポール・インドアスタジアムで開催されたONE114「Bing Bang」で、ゲイリー・トノンとの大勝負に敗れた松嶋こよみ。

MMA界髄一といって過言でないトノンの寝技を凌いだ反面、打撃で支配することはできなかった。

現代MMA界でも非常に珍しくなった異種格闘技的な性格のある戦いを経て、松嶋は何を想うのかを尋ねた。


──ゲイリー・トノン戦から3週間、あの敗北をどのように捉えていますか。

「先週まで……2週間ぐらい毎晩、死にたいような気分になっていました(苦笑)。そこから練習を再開するようになって……気持ち的には一旦リセットはできてきたかと思います」

──勝つことはできなかったですが、不甲斐なさなど微塵もなかった試合だったと思います。

「結局、極められはしなかったけど、『じゃあ、お前が何をしたんだ』と問われると、僕は本当にただ守っただけだし何もできなかった。試合が終わってからも、ずっと力を出し切れなかった……という想いが続いています。

2Rまで相手のペースで、自分のやりたいことができていないことが分かっていても、3Rもああいう風に動けなかった。悔しいとかいうよりも、不完全燃焼という気持ちが強いです」

──最終回はトノンが、2Rまででセーフティリードと考え勝負をする必要がなく、その選択を全うしたので凄く難しかったと思います。

「そうですね。少し当てて離れれば良いという感覚で戦っているのも分かっていました。あのサークルケイジだと、追い回すことも難しく、無理から突っ込んでいくとカウンターのテイクダウンが来る……。だからこそ、3Rをあの状態で迎えてはいけなかったです」

──う~ん、とはいえ1Rのバック&RNCを凌いだことは確かです。

「でも、それほど苦しくなかったんです。そこまでガッチリとはトノンも極めにきていなかったような気がします。もちろん僕は守ることに徹するという展開だったわけですけど。

背中を取っている位置がかなり上の方だったので、絞めはそれほど深く入らないという感覚はありました。ただし、あれが続くと、攻防のなかで気持ちが揺らぎそうになりはなりました」

──もう諦めようと?

「そうですね……『負けか……。これでタップするのか』という自分の声も聞こえました。あの態勢を取られると負けるという前提で、ああならないように取り組んできたので。でも、そうなった時にどう対処するのかという練習をしてきたから、何とか耐えることはできた。そういうことだと思います」

──結果論ですが、2Rにテイクダウンを取られずに打撃で圧力を掛けることができていると逆転の目が大きくなっていた。

「その通りですね。自分の打撃で行こうと思っていました。ただ、そうするとすぐにトノンが離れる。一定の距離をずっと取られ続けていました。結果、リズム的にも難しかったです。

そうなると段々と自分の攻撃パターンが少なくなって。相手がサークリングをしてくるので、右の蹴りを出して止めようという意識が強くなりました。そして、練習をしていない蹴りを使ったことで、カウンターのテイクダウンを許すことになりました。

レスリングは大丈夫だという甘いが考えが、あのテイクダウンされる展開に至ったと思います。あそこで即スクランブルに持ち込むと、バックをまた取られて極められる。ならガードで落ち着こうとか考えたのですが、結局のところはトノンが全ておいて上手でした」

──タップしなかったことは、自信にならないですか。

「MMAだと、そんなに極められないんだということで逆に驚いたということの方が大きいです。あの展開になったら、アッサリと極められるだろうと思っていたので。だから自信というよりも、トノンを大きく見過ぎていたかもしれないです。

同時に僕がリードしていたらトノンもああいう風でない、極めに拘った攻めを見せていたかもしれないですし。とにかくトノンの作戦にハメられた試合で、絞めを取られなかったから──他の選手に取られることはないという感覚になるのは良くないです」

──なるほどぉ、深いですね。自分なんてトノンに取られなかったので、あとはどんな組みや寝技の強い選手、あるいは寝技のない選手にもガンガンと打撃で攻めることができるようになると単純に考えてしまっていました。

「圧力に関しては、これまでより掛けていけるんじゃないかという感覚はあります。ただ、これを経験したからこそ、もっとグラップリングの練習をしないといけないと思うようになりました」

──いわば異種格闘技的に捉えると、トノンの組みの圧力が松嶋選手の打の圧力を上回ったということでしょうか。

「そもそも今回は守る練習をしていた。防御を考え過ぎてしまった……勝つイメージよりも、やられないイメージでやりすぎていたというのがあるかと思います。

それって最初から攻撃より、防御に回っているということで。結果として、自分の圧力は落ちている。力が落ちていたのかという感じはします。今更ですけど、もっと自分の攻撃を信じて準備をすれば良かったと思います。

でも……あの練習をしていないとやられていた。そう言う分でトノンは攻略が難しいだけでなく、準備も難しい相手だったと思います」

<この項、続く>

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