武尊 vs. 那須川天心、簡単には実現できない両陣営の裏事情

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 2021年、格闘技界最大の話題は、対戦が現実味を帯びてきたと言われる「武尊vs那須川天心」戦だ。誰もが待ち望むドリームマッチの実現に向け、数々の報道もファンの興味を引いているが、状況はどこまで進展しているのか。

 複数の関係者からの情報を合わせて考えると、まず言えるのは「両陣営とも前向きに動いてはいるが、具体的には何も決まっていない」ということだ。では、対戦実現のためには何をクリアする必要があるのか。現状を整理してみよう。

 すでに両者とも直近に次の試合が決まっている。まずその試合に勝たなければ、2人とも“次”には進めない。那須川の次戦は2月28日、自身がデビューしたホームリング・RISEの横浜アリーナ大会だ。

 那須川が対戦する相手は志朗。一昨年のRISE世界トーナメント決勝でも那須川を苦しめた強豪だ。ヒジ打ちなしのRISEでは異色のムエタイがベースの選手だが、ルールにアジャストするためボクシングを徹底的に練習。この1年あまり、ひたすら“打倒・天心”のために過ごしてきた。

 一方、武尊は3月28日のK-1日本武道館大会で、スーパー・フェザー級タイトルの防衛戦がある。彼に挑むのは、K-1の系列イベントKrushのチャンピオンであるレオナ・ペタス。重いパンチが持ち味で、武尊が苦戦した村越優汰をKOするなど勢いに乗っている。攻撃力は武尊と互角と言ってよく、長いリーチがもたらす“制空権”の大きさは脅威だ。

 志朗もレオナも、決して簡単な相手ではない。むしろ那須川と武尊のキャリアにおいて最強レベルの難敵だ。ある格闘家は「どっちかが負ける可能性だって十分あると思いますよ。特にレオナはヤバい相手です」と言った。

 どうすれば念願のスーパーマッチが現実となるのか。第一条件は、2人がレオナと志朗との大一番に勝つことだ。そして繰り返すが、それは簡単なことではない。勝ったとしても、試合中にケガをする可能性もある。つまりお互いが万全な状態で対戦できるまでに必要な休養や治療の期間がどれくらいか、現時点ではまったく分からないわけだ。

 スーパーマッチの会場は当然、スタジアム級になるだろう。そこで問題になるのがコロナ禍とオリンピックだ。現在、イベントの収容人数は会場キャパシティの半分以下かつ5000人までとされている。

 さすがにこの状態のままで「武尊vs那須川」を行なうわけにはいかないだろう。会場観戦できるのが「限定5000人」ではファンが納得しないはずだ。ドーム球場の半分、約2万人での開催が可能になったとして、おそらくまだチケットが足りない。

「やるのであれば、日本最大級の会場を超満員にしてやりたい。それができるのがいつになるのかが悩ましいんです」

 そう語る関係者もいる。

 2人が次の試合に勝つこと。対戦の時期、会場、コロナ禍にオリンピック、全体のマッチメイクに放送の問題。「今は分からないこと」、「これから決めなくてはいけないこと」がこれだけ存在するのだ。繰り返すが両陣営とも実現には前向き。しかし具体的にはまだ何も決まっていない。それが現状だろう。

 両陣営が前向きなだけでは実現しないハードルがいくつもあるということですか。続きを読む・・・
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