1回戦の全対戦カードが発表されたRIZIN JAPAN GRAND-PRIX 2021 バンタム級トーナメント。抽選の妙なのかいたずらなのかはわかりませんが、マニアにとっては語り甲斐のある組み合わせではないでしょうか。しかもRIZINにとって初めての東京ドーム進出の記念すべき1日。せっかくなので全試合の見どころをまとめていきたいと思います。だらだら続くと思いますが気長にどうかよろしく。初回は渡部修斗（ストライプル新百合ヶ丘）×朝倉海（トライフォース赤坂）の一戦から。
まずそもそもこのトーナメントは朝倉海のためにあると言っても過言ではないでしょう。堀口恭司をKOして、扇久保博正、佐々木憂流迦、マネル・ケイプにも勝利している実績は文句なし。完全に頭一つ飛び抜けています。それが故に組み合わせ抽選の最大の注目は朝倉の対戦相手。いきなりの強豪か。RIZIN初参戦のニューフェイスか。ファンの妄想を尻目にその座を射止めたのはなんとなんと渡部修斗でした。
渡部のRIZIN戦績は1勝1敗。失礼ながら格闘技マニアの間でも知名度はお世辞にも高いとは言えません。しかし渡部の異色の経歴は何とも興味深い。父親は初代修斗ウェルター級チャンピオン渡部優一というサラブレッド。それでいてインディーズ色の強いZSTやFighting NEXUSを主戦場にして裏街道を歩んできました。
いつの間にか極まっているマジカルチョークを武器にFighting NEXUSで王座を戴冠。その後DEEPを経由して昨年初めてRIZINに参戦しましたが、バンタム級GPへの参戦を決定づけたのはRIZIN.27の田丸匠戦。下馬評では修斗で天才の異名を持つ田丸が圧倒的に優位。その勝ち方が焦点にすらなっていましたが、大方の予想を覆して渡部がアップセットを起こしました。
試合後に榊原信行CEO、髙田延彦キャプテンに直訴。それが実って見事バンタム級GP参戦が決定しました。ごく最近まで新宿FACEやGENスポーツパレスで試合をしていた男が東京ドーム進出（恐らく）。おまけにYouTubeのチャンネル登録者数90万人を誇る優勝候補筆頭の朝倉海の相手になろうとは。。。これぞ格闘技の醍醐味。2021年のシンデレラボーイと言っていいでしょう。
しかも坂口健太郎似のイケメン。おまけにRIZIN参戦も目前とされる女子格闘家・青野ひかるの公私ともにパートナーとなればフジテレビが放っておくはずがありません。オンエアが確定であろう地上波中継ではしっかりとフィーチャーされるのは間違いないでしょう。まさしくブレイク前夜の雰囲気が漂ってきました。
しかし本当のシンデレラボーイになる事が出来るかかどうかは朝倉戦の結果次第。圧倒的に不利が予想される渡部に朝倉攻略の糸口はあるのか。外野からの勝手な意見としては、朝倉なら誰が対戦しても負けるんだから、もう一か八かで思い切った試合をしてほしい。
一発当たれば終わりの朝倉の打撃をかいくぐって組み付く。それは相当怖いしリスクでしかない。それでも田丸戦のようにバックに回った時の渡部のポジショニングの硬さは想像以上。さらにチョークで仕留める極めの強さはダテじゃありません。田丸戦と同じ展開に持ち込む事が出来たなら。。。淡い期待を抱くのは私だけではないでしょう。
朝倉のパンチや膝のモーションだけで悲鳴が聞こえてきそうですが、その悲鳴と恐怖の先に待っているものはとてつもなく大きい。朝倉絶対優位は揺るぎない。それでも、渡部が全てもかなぐり捨てて組み付いていく姿をとてつもなく見たい。
