【Bu et Sports de combat】MMAを武術的な観点で見る。岡田遼✖大塚隆史─02─「不自然から脱却する」 

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【写真】5分✖5Rの長丁場、マネージメント力に優れた岡田の視線の先は? (C)MMAPLANET

MMAと武術は同列ではない。ただし、武術の4大要素である『観えている』状態、『先を取れている』状態、『間を制している』状態、『入れた状態』はMMAで往々にして見られる。

武術の原理原則、再現性がそれを可能にするが、武術の修練を積む選手が試合に出て武術を意識して勝てるものではないというのが、武術空手・剛毅會の岩﨑達也宗師の考えだ。距離とタイミングを一対とする武術。対してMMAは距離とタイミングを別モノとして捉えるスポーツだ。ここでは質量といった武術の観点でMMAマッチを岩﨑氏とともに見てみたい。

武術的観点に立って見た──Shooto2021#02における修斗世界バンタム級選手権試合=岡田遼✖大塚隆史とは?! 格闘技を戦うことが本来は自然の摂理に逆らっているなかで、武術がマネージメント力に左右される5分✖5Rで役立つことはあるのか。

<武術的な観点で見る岡田遼✖大塚隆史Part.01はコチラから>


──年を重ねると若い選手に勝てる要素がなくなる。それは身も蓋もない意見ではないですか。

「生物としての根本的な話として、人間以外に格闘技をする動物は存在しないですよね」

──ハイ、その場限りの勝ち負けを争うというのは他の動物ではないかもしれないです。

「つまり生物学的に不自然なことをやっているということになるんです。若くてガンガン……それも生きていくうえで関係のない闘争をするという意味では、生物学上では必要以上にガンガンやっている若い相手と、年を重ねた人間が戦う。勝ち負けまでは保証できないですけど、ある程度まで試合を取り組むために良い状態を創るには、意識が外でなく内に向くことは非常に前向きなんです。ただ、勝てるとまでは言えないです。

原理原則でいえば、それがなければ若くて元気の良い人に勝てるわけがない。では、その無理難題に立ち向かうにはどうするのか。それは人間が動物として、一番自然なことを突き進むしかない。そこが武術に通じるんです。

ハッキリ言えばウェイトトレーニングも、息上げも生物学的には──してはいけない。生き抜くうえで反対のことをやっています。でも、それをやらないとスポーツ、格闘技では勝てない。そういう状態で選手が不自然から脱却するのが、超自然というヤツです。大塚は試合後、5Rを戦っても疲れなかったと言っています。彼が外でなく、自分を見る──試合に向けては無心の状態になったのは想定外でした」

──う~ん、ただ疲れても勝つのが格闘技の真理ですし。

「そこは技術的な話になってきます。自然体から不自然の極みである勝利にどのように持っていくのか。ここに関しては矛盾しているところなので、整合性を持たせるのは別問題になるんです。

要求した技術的な部分に関しては蹴り、突き、スクランブルにおいて、練習してきたことの3割も試合では出せなかったです。そういう部分でも岡田選手は5分✖5Rをマネージメントしてくることは予想できていたので、私も攻防云々よりも時計ばかり見ていましたね」

──試合をしている当人も、常に時間を気にしていたと思います。5分✖5Rは序盤から大前提として疲れない、そこから試合に入る必要があるので、何かの拍子で試合が動かないと5分✖3Rとは別物の試合になります。

「それですよね。高島さんもゴン格で『MMAでは5分✖5Rは無理、5分✖3Rに戻そう』ということを書かれていましたよね。それが極真時代の話で、国内でマネージメントで勝っていても国際戦では勝てないという所に通じてくるんです。国内で5分✖5Rが上手な選手は、UFCでは1Rで負ける。それが現実だと思います」

──国内MMA総フィーダーショーになった今、チャンピオンシップだから5分✖5Rというのはナンセンスだと感じているんです。UFCの世界選手権ですら、ペース計算で5分✖3Rの積み上げではなく、試合内容になっています。よしんばUFCで戦うことができたとしても、まず5分✖3Rでバケモノに勝たないといけない。だからこそ、国内でMMAだけで食っていけるなら、それ以上を目指す戦いは必要ないのですが、海外に行ってMMAだけで食べるようにしたいなら──海外の5分✖3Rで勝てるための日本での試合にならなくては……と。

「バンタム級でいえばコリー・サンドハーゲンや、ショーン・オマリー、エイドリアン・ヤネツのような選手と戦うには、どうすれば良いのかということを考えた戦いをするということですね。

現状はそうでない。そして、5分✖5Rはマネージメントいうことなので、配分になってしまいます。そうなると何をされると嫌なかのか、その対処をまず考えて嫌にならない試合をしないといけなくなります。それには良いイメージを創ること、そのためのペース配分です。

この感覚を岡田選手は身につけて、MMAを戦ってきたと思います。大塚がこうしてくれば、自分はこうしよう。次はこうなれば、今度はこうだ。2Rでは、3Rではと組み立ててマネージメントできている」

──マネージメントMMAは、岡田選手が「MMAは5教科7科目」と言ってきたことに通じているのですね。

「ハイ、受験勉強です。学問と受験勉強とは違います。5分✖5Rは間違いなく、受験勉強なんです。今、危惧しているのは日本の受験勉強をしていてハーバードやイェール大学に入学できるのか──ということなんですよね?」

──ハイ、その通りです。東大、早慶に入ってもMMAで食っていけないのが日本の実状なので。

「ちなみにイェール大学は入試にエッセー(作文)があります。そして入学試験の点数ではなく、重視されるのは高校での成績です。米国の名門大学が求めるのはセンター試験ではなく、『勉学に励む』ことで社会や国家、ひいては世界にどのように貢献できるのか。そのために『芸術に親しみ』感性を磨き、『スポーツに勤しみ』体力創りを欠かさない。そして『リーダーシップ』を発揮することだそうです。あと、推薦状も重視されているようです。

それはそうと、岡田選手は修斗で勝つための5分✖5Rをしっかりとマネージメントできていた」

──大切なことなんです。今の日本のMMAがそうあるので。なので岡田選手はやるべきことをやり抜き、大塚選手は負けた。

「だから私は北岡さんにセコンドをお願いしたいんです。北岡さんはマネージメントに優れています。北岡さんは強くなることと、試合に勝つことをしっかりと別々に考えることができる人です」

──そんな日本の現状があり、選手は国内でも5分✖5Rを戦う必要があるなかで武術は役立つのでしょうか。

「年齢がいけば超自然体……選手が年を重ねても戦える特性に武術は有効です。しかし、勝ち負けは別のところにある。ですので、武術の原理原則を知ったうえでMMAで勝つ術、時と場所によって求められている試合形式で、勝てる方法を身に着けていくよう努力するしかないです」

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