【写真】素晴らしくポジティブなイゴールだった(C)MMAPLANET
月25(日)に名古屋市熱田区の名古屋国際会議場で開催されるHEAT48でイゴール・タナベが4分2Rのサブオンリー・グラプリングでアンディ・コングと対戦する。
柔術及びノーギ、重量級で日本一といって間違いないイゴールだが、コロナ禍で実戦経験を積むことが出来ていない。参加型格闘技の柔術トーナメントは、ほぼ動きを止めている。同様に昨年、一時は盛んになったグラップリング大会も年が明けてからは音なしの構えだ。
そんななかで決まったイゴールのHEATでの組み技マッチ。練習仲間の石井慧は、相応しい対戦相手が国内では見つからなかったという理由で欠場になってしまうなか、イゴール・タナベ in ケージは、一番の注目試合といっても良いだろう。意外にもHEATとは長い縁があったイゴールに、現状や今回の試合、そしてこれからに関した話を訊いた。
──1週間後、HEATでアンディ・コング選手とグラップリングで戦います。イゴールがHEATの金網でグラップリング、凄くミスマッチで興味深いです。
「石井慧さんが紹介してくれて、HEATが組んでくれた感じです」
──対戦相手のアンディ・コング選手は、GTFのハイサム・リダ戦の善戦が印象深いです。
「パラエストラ小岩の大内(敬)先生の茶帯で、青と紫帯でアジアでも優勝している選手です。ただ相手云々でなく、試合ができることが嬉しいですね」
──昨年、2月以降は柔術界がほぼほぼストップし、その間にGTFなどグラップリングの大会が開催され、イゴールもノーギでの活躍が増えました。そして秋には各柔術連盟も動き出したなか、第3波、そして現在と感染拡大は収束を見せず、昨年以上に柔術、グラップリングの試合は行われなくなっています。
「そうですね……。ASJJFはトーナメントを続けていますが、JBJJFはないですね。ホント、悲しいです。僕はファイターなので、試合をすることが一番楽しいことなのに……それができないのは。
去年は2月に試合をして、次は7月の終わりでした。そこからはGTF、Battle Hazard、KIT、Quintet、JBJJFの全日本と立て続けに試合に出て。でも、11月の半ばからここまでまた試合がない状態です」
──柔術の環境として、アスリートが生活できる基盤はないです。
「そうですね、指導者か道場経営者でないと」
──トーナメントのマネタイズが参加費であって、そこは現状ではもう本当に難しい。競技者のためにワンマッチ大会でもあれば良いのですが……。
「ハイ、でもIBJJFという組織がその上にあるので、JBJJFもワンマッチ形式の大会を開くことは難しいと思います。賞金トーナメントもないですし。JBJJFに関係している人が、違う組織でワンマッチ大会を開催してくれるような形でないと」
──その通りですね。イゴールはアスリートとして、米国で勝負しようという気持ちになってしまわないですか。
「米国は毎週のようにワンマッチやプロ・トーナメントをやっていて羨ましいです」
──昨年、二連勝した相手であるハイサム・リダ選手も脚光を浴びています。
「海外に行くことは考えます。石井さん経由でSUGに出られないか、尋ねてもらったり。でも、米国にそのまま住むことは、家族がいるし無理です。まだ海外の大会に呼んでもらえるほど実績は残していないですし……。
海外は、すぐには行けない。だから米国に行くのではなくて、今できることをやっていきます。練習にしても、指導でも。そして試合があれば、すぐに出られるようにしていくのが、今の僕の選択です」
──そういうなかでHEATからオファーがありました。
「本当に有難いです。HEATは……マックス・フェルナンデスって知っていますか」
──元ウェルター級チャンピオンですね、HEATの。
「実は僕の地元で、同じ道場にいた選手で。格闘技の試合会場に初めて行ったのもHEATだったんです。マックスの応援のために」
──えぇ、そうだったのですか! もう12年、13年前ですよね、彼がチャンピオンになったのは。
「マックスがウェルター級トーナメントに出ている時、毎大会応援に行っていて。だから、HEATは僕にとって思い出の大会なんです。ダニロ(ザノリニ)にも7歳ぐらいの時に、キックボクシングを教わっていました。ダニロもHEATのキックでチャンピオンだったし、ここで僕がHEATに出ることは運命を感じます」
──巡りあわせですね。
「ハイ、そう思います。だから僕にとってHEATに出るのは、特別なことなんです。マックス・フェルナンデスを知っている人も、そんなにいないと思いますけど……チャンピオンになってブラジルに戻ってしまったんですよね。めちゃくちゃ強かったので、勿体なかったです」
──ただHEATのお客さんは、キックボクシングが好きでMMAの試合で寝技になると、「おい、立てよ」、「レフェリー、ブレイク!!」などという野次が盛んに飛びます。その会場でグラップリングというのは、なかなかハードルが高いのではないかと……。
「そういう人にも楽しんでもらえる試合をしたいと思います。サブオンリーで、相手が参ったするまで試合が続きますし。グラップリングを知らない人に僕がいきなり座ると『何やってんだ』と思われるので、立ち技から倒して、その流れで極めに行こうと思います」
<この項、続く>
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