【Bu et Sports de combat】武術で勝つ。型の分解、サンチン編─11─中割れで知る、型が伝えること

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【写真】現在発売中のFight&Lifeで、青木真也が武術空手の中割れを体感している(C)t.sakuma

武術でMMAを勝つ。空手でMMAに勝利する──型を重視する剛毅會の武術空手だが、岩﨑達也宗師は「型を使って戦うということではない」と断言する。型稽古とは自身の状態を知り、相手との関係を知るために欠かせないモノであって、その形で戦うことではない。

サンチン、ナイファンチ、セイサン、パッサイ、クーサンクーの型稽古を行う剛毅會では、まずサンチンから指導する。5種類の型稽古にあって、唯一サンチンのみが意味を吸いて吐くという意味での呼吸を学ぶことができる。

全ての根幹となる武術の呼吸を学ぶことができる──サンチンの解析、第11回は前回に続き中割れを通して、型が伝える意味を解析したい。

<サンチン解析第10回はコチラから>


中割れから

拳を再び握りつつ、

(03) 鳩尾前の前まで引き上げ、手の甲が下を見るように搾る

✖ 肩やヒジを上げず、下げることが重要になる

【応用&上級編】前回、諸手突きを中割れの要領で両手受けし、右手受けから裏拳という打の在り方を紹介したが、ここでは組みへの中割れの応用を説明したい。中割れで相手に手首を掴まれると、そのまま手を開いた状態から、拳を握りつつ引き上げて──自らの左手で相手の左手首を掴む

再び拳を開いて、

返す動作によって

相手を崩す

【重要&MMAへの応用】手首を掴まれた時、拳を握ったままだと

相手も力が入ったままで腕を引き上げることもままならない

そこで──一度中割れの要領で、掌を開くと相手の力が若干抜ける

相手の力が抜けると同時に、拳を握り直し

腕を引き上げることができ、返すことができる。手首を掴まれる攻防は、MMAでも非常に多く見られる状況で、応用できる

この動作を使える空手家はごくごく限られている。何より、この動作を使うという観点ではなく、なぜ中割れが必要がという点を考えることが重要になる。つまり型が伝えることを理解するということ。少ない型から無限の技を想像する武術空手の最大の特徴でもある。

このような特徴を知ることで、空手は動きのある基本稽古と型稽古が一致していることが理解できる。とはいえ空手は本来は型稽古しか存在しなかった。型稽古から局部的に抜き出し、型をより理解するために基本稽古が行われるようになった。よって基本と型は循環しなければならず、基本稽古だけでは空手が本来持つ本質を理解することはできない。だからこそ、型稽古が必要になってくる。

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