コロナ後の世界に残したい激闘10撰~三崎和雄×秋山成勲~

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私の格闘技観戦史の中で忘れられない試合のひとつが2007年のやれんのか!?で行われた三崎和雄×秋山成勲の一戦です。遡るとちょうど1年前の大晦日。PRIDEの象徴だった桜庭和志が巻き込まれたヌルヌル事件が勃発。その事件の首謀者だった秋山に対して三崎が挑むという因縁の構図。さらにPRIDEがUFCに骨抜きにされて開催されないまま1年が経過した事でPRIDEファンの焦燥やイライラは最高潮に達していました。

その中で行われたやれんのか!?。積もりに積もった鬱憤を晴らすかのように、川尻達也は泥臭くもルイス・アゼレードに判定勝ち。さらに石田光洋はノンストップバトルの末に強豪ギルバート・メレンデスとの接戦を制し、会場のボルテージは極みに達します。
そのまま流れ込んだ三崎×秋山戦。いつものように入場で正座をする秋山に対した大ブーイングが浴びせられたかと思えば、三崎に対しては割れんばかりの大喝采。ある種異様とも思える盛り上がりの中でゴングが鳴ります。

試合は緊張感のある一進一退の打撃戦。均衡を破ったのは秋山の的確なワンツー。これで三崎はダウン。パウンドを浴びて絶体絶命のピンチを迎えますが、KO負け寸前のところでガードを固めてスタンドに脱出します。
ここからが三崎の真骨頂。ダメージを負った事で集中力が増したかのように前に出てプラッシャーを掛けていきます。そして1Rも残りわずかとなって三崎のボディがヒット。さらにボディと同じ軌道で右フックがクリーンヒット。膝をついた秋山が立ち上がろうとした刹那に三崎は躊躇なくサッカーボールキック。ダウンして秋山を見てレフェリーが試合を止めました。

試合をスカパーで観戦していた我が家から絶叫がこだましたのは当然。解説席にいた三崎と同じGRABAKA所属の郷野聡寛髙田延彦が喜びのあまりリングに上がって歓喜の輪に加わった光景は繰り返し繰り返し何度再生した事か。PRIDE消滅、ヌルヌル事件で蓄積した靄が一気に晴れて視界が開けた瞬間です。
そして試合後にリング上で行われた三崎の秋山に対する公開説教。それに怪訝な表情を見せる秋山びいきの清原和博。さらに大会後しばらくして三崎のサカボキックが反則とされて無効試合になった事実も一つのドラマ。お後がよろしくないのもまた格闘技と言っても過言ではないでしょう。全ての感情が凝縮された思い出の一戦です。
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