コロナ後の世界に残したい激闘10撰~桜庭和志×マーカス・コナン~

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おかわりが続くコロナ後に残したい激闘10撰。2杯目は1996年12月にUFC JAPANで行われた桜庭和志×マーカス・コナンの一戦です。PRIDEの紀元前にしてブレイク前の桜庭が頭角を表した出世試合は実に数奇な巡り合わせの連続でした。この大会で行われたUFC-Jヘビー級トーナメントには元々金原弘光が出場する予定だったものの怪我に欠場。その代役としてお鉢が回ってきたのが桜庭和志です。
桜庭は1回戦でコナンと対戦。体格にモノを言わせてパンチで圧力をかけるコナンに対して低空の片足タックルを敢行します。しかしパンチが効いてダウンしたと判断したレフェリーが試合をまさかのストップ。これに納得のいかない桜庭はマウスピースを叩きつけ、オクタゴンの中央に座り込んで猛抗議。すると誤審が認められ、インターバルをおいて再試合が組まれる事になります。

こんな判断自体がMMAではなかなかありませんが、偶然はこれだけでは終わらない。トーナメントの逆サイドを勝ち上がったタンク・アボットが拳を骨折して決勝を棄権。これにより、桜庭×コナンの再戦がなんとトーナメント決勝として行われる事になるのです。
怒涛の展開の中で始まった再戦。四の五の言わずにまずは動画を見てよという話ですが、柔術黒帯から鮮やかに一本を取るシーンは最高に気持ちいい。そしてオクタゴンに雪崩れ込んでくる桜庭陣営。その後に飛び出す「プロレスラーは本当は強いんです!」という名台詞に至るまでひとつの作品として完成されています。

ここまで偶然が重なるともはや運命のいたずら、歴史の巡り合わせと言うしかないでしょう。あの時、金原が怪我をせずに出場していたら。レフェリーが誤審をしていなかったら。そしてアボットが棄権していなかった。ひょっとしたら今の桜庭もPRIDEへと続く日本の格闘技の歴史も全く違うものになっていたかもしれません。そう思って見ると一際感慨深い試合。ゴールデンじゃないゴールデンウィークの最後夜にいかがでしょうか。
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