【写真】インタビューは21日に行われ、22日には東京都からロードマップが発表された (C)MMAPLANET
3月1日にDEEP94 Impactを開始して以降、DEEPは4月12日のDEEP CAGE IMPACT 2020 in OSAKA、5月6日のDEEP95及びDEEP JEWELS29と連続でイベントが中止され、その後の活動再開に関しては正式なアナウンスは控えられている。
新型コロナウィルス感染拡大は、数字的には沈静化しつつあるとはいえ、終息と社会生活の完全再現は見えてこない。政府や自治体の方針も日に日に変化を見せるなか、DEEP佐伯繁代表はコロナ以前の大会を開くことができるようになるまで、準備のための活動再開を視野に入れている。
そのために──現状の把握と医療現場の状態を考慮しないわけにはいかないと佐伯代表は断言した。
──3月1日の後楽園大会以降、4月の大阪、5月の後楽園ホール大会と中止になりましたが、現状において今後のDEEPの活動をどのように考えておられますか。
「緊急事態宣言がいつ、終るのか。5月の終わりなのか、今は医療崩壊に陥ることなく、なんとか落ち着きを取り戻してきています。実際に僕が通院していた病院も閉鎖されていた状態から診察が再開されました。医療が回り出せば、無観客なのか大会を開くことが可能になる日が見えてくると思います。
東京都でロードマップが出る(※取材の翌日に都が発表した)のですが、現状ではいつ、何をやることはまだ見えていないです。非常事態宣言が解除されても、後楽園ホールでハイ、大会を開きましょうという世の中にはならないです」
──確かにその通りですね。
「それが室内で100人までとか、そういう状況になるとDEEPでは7月に大会を予定していましたが、やはり今まで通りに大会を開くことは無理です。7月に何かやるとして、6月になってから選手に声を掛けていては間に合わないです。となると後楽園規模の大会を開くことがでできるのは8月の後半か、9月かと。今をそこを見て、そのためにも7月にまず無観客でも大会を開こうかという気持ちです」
──無観客だと収益という部分で、問題が残るのも事実かと思います。
「もちろん、そこをクリアすることを考えないといけないです。そして現状が1日、1日と変化する。今日と2週間後は状態が違います。非常事態宣言が取り下げられて、そこから例えば100人限定の大会をするにしても、採算を合わせるのは難しい。でも、イベント再開の合図のようにして、無観客か100人の収容でやってみようかということなんです。平日開催も考えています。すでに会場とも話し合っていて、会場側もソーシャルディスタンスを考えて収容人員が限定されるなら、賃貸料もそこに則すと言ってくれています」
──会場側も経営に行き詰らないよう、互いに理解しあう姿勢があるということですね。
「とはいっても、第2波が来るかもしれないから分からないですよ。本当に分からない」
──そのなかでRoad to ONEや修斗、そしてTTFCが無観客大会の開催、あるいは開こうとしていることはどのように思われますか。動いている方がファンの目にも止まりやすいことは事実です。
「そうですね、無観客で大会を開くことを僕は悪いことだと思っていません。安全対策をしっかりとするのであれば。それと、やはり医療崩壊の危険性との兼ね合いです。正直、医療が回っていない時期に大会は止めてくれという想いはありました。
それはDEEPのドクターにしても、全く回っていない時期がありましたから。ケガをして病院に運ばれる可能性がある格闘技の試合をすることは、医療現場の状況を鑑みると、時期としては今ではないだろうという気持ちはありました。
それが今はだいぶ良くなっている。5月31日、そして6月の終わりだと──さっきから言っているように状況が違うでしょうね。病院が無理なく、ケガをした選手を受けいれられる状態なら、開く方も戦う方も覚悟を持ってやっているんだし、大会が開かれることに反対はしないです」
──医療現場という要素を佐伯さんは気にかけてわけですね。
「それと同時に出ない選手もね、尊重しようということですね。この時期に試合をする、試合をする・しないは個人の判断で、団体側の人間として『出たくない』という言える空気を維持したいです。出ないことを非難すると、どこかで感染のリスクがあるのに練習をするという悪影響を与えてしまいますからね」
──個人の意思を尊重すると。
「ハイ。それに時期的にね、日本もPR検査がもう少し手広くできるようになってくるだろうし、抗体検査なら可能になっている状況もあります。そこがどのように進むかで、大会をどのように行うことができるかの判断基準になってくるかと思います。
UFCみたいにね、陽性になった選手がいても大会を開く。もう米国の舵切りがそうなった。それもフロリダという場所だからできた。なら、日本はどうなるのか。経済活動の医療現場、その兼ね合いですよね。ここから1カ月、色々と事態は進むと思います。試合と試合のあとの2週間、隔離できるのか、それがPCR検査ができるのか。その状況で格闘技大会を開く、開けないというのは根本から違ってきます」
──この事態を静視できる体力がいつまで格闘技界が持っているのかというのも、大きな問題になってくるかと思われます。
「まぁ無観客でこれまでのようなマッチメイクを組めるなんて、世界でもUFCとベラトールのように放映料とかPPVで運営できるところでないと。そうなると、チケットの売上が大切になってくる日本の市場では、これまで通りにはいかないです。
ファイトマネーの高めの選手はどうなるんだとか、色々と考えないといけないです。安全面に関しても、選手だけでなくスタッフも含めてPCR検査がどれだけ一般的になっていくのか。あるいは抗体検査なら、提携しているクリニックでも可能だとは考えています。本当に1日、1日とニュースを見ていないと、その時点で出だしが遅れますからね。、ホントね、『DEEP、大丈夫なの?』ってわざわざ連絡をくれる人もいるんですよ」
──それはどこのプロモーションも、キャッシュフローを考えると心配です。
「でもさ、20年間やってきたんだから。色んな経験をしてきたから、そんなヤワじゃねぇよって」
──押忍。ありがとうございます。