RIZIN LANDMARK6:総評

もともとのカードが微妙な上、判定も微妙。佐藤 vs. 太田と渡辺 vs. 万智はいい試合だったが、どちらもスプリット判定で、どこがどう評価されての判定なのかがわからないため、モヤモヤが残ってしまった(ついでに今回は、英語版twitterで公開されていた各試合のスタッツも公開されなかった)。

緊急出場ながら将光は良く動けていた。テイクダウンされてもすぐに立ち上がり、押し込まれた体勢からも打撃の手数では上回った。準備期間がない状況でトップの一角に入りつつあった太田に勝ったので、次は井上か元谷クラスと見たい。

太田は後半押し込むだけになり手詰まりに。打撃で後退する場面が多かったのも、今後を考えるとまだ改善の必要がある。

RIZINのジャッジは

①KO・一本につながるダメージがあったか

②アグレッシブで明らかな差があったか

③ジェネラルシップ

の順番で判定を行い、①があった場合は②③の内容に関わらず勝ちとなる。それだけに、明らかにダメージがあるとみなされない場合は、ここはイーブンとなる。打撃がビッグヒットしても効いた素振りを見せなければ(それが可能なら)ダメージとしては評価されないし、ダウンしてもフラッシュ気味でダメージがないとみなされたら*1評価されない場合もある。一方で、一瞬ぐらついてすぐに立ち上がってもダメージとみなされる場合がある*2。しかし実際のジャッジもこういった場合にダメージとして取るかどうかは割れており、判断が統一されていない。

今回で言えば、判定になった試合で、ダメージがあるとみなされたのは中村 vs. ヒロヤでの、3Rの中村のパンチによるヒロヤのダウンのみだろう。ただこの試合もジャッジが割れている。推測だが、ヒロヤに入れたジャッジは2Rにヒロヤがフラッシュ気味にパンチで倒したのもダウンと見てダメージの差がないと判断したのかもしれない。

②のアグレッシブもまた判断が割れがちな項目。判定が割れていない試合でも、ジャッジペーパーを見ると割れていることが良くある。マストで「どちらがアグレッシブだったか」を見るならまだ差をつけられる(単純に手数をカウントすれば、ある程度客観的な数値が出る)。が、「どこまでをアグレッシブとして取って、どこからイーブンにするか」は、判断を統一するのが難しい。トータルジャッジだとなおさら割れるだろう。

今回で言えば、太田や万智のテイクダウンを奪えない(あるいは、奪ってもすぐに立たれる)タックルはアグレッシブに攻めていると言えるのかが気になる。単に打撃の手数で見るなら、太田も万智も劣っている。

③のジェネラルシップは、①②と違いマストで必ずどちらかに入れることになる。公式サイトの説明文は以下*3

試合のペース、場所、ポジションなどの支配についてどちらが優れていたかを評価する。ただし、スタンドポジション及びグラウンドポジションに占めた時間割合を考慮して評価を行う。

「試合のペース、場所、ポジションなどの支配」のうち、わかりやすいのはテイクダウンとポジショニング。これは見ていてだいたい有利な方がわかるし、ジャッジの判断が割れることも少ない。が、スタンドが多い展開の場合だと、だいたい割れる。スタンドの攻防で、何をもって試合のペース・場所・ポジションを判断しているのか。どちらが主導権を握っていたかということになるが、万智 vs. 渡辺のようにタックルを仕掛ける・それを切るという攻防があった場合、仕掛けた側が主導権を握っているのか、切った側が主導権を握っているのか、イーブンなのか。

個人的に、万智 vs. 渡辺についてはジェネラルシップはスタンドで支配していた万智、将光 vs. 太田で言えばケージに押し込まれてもそこから攻めさせず、打撃で主導権を握った将光が取ったと思った。万智も太田もテイクダウンを奪う場面はあったが、全体としてはスタンドの展開が長く、「ポジションに占めた時間割合を考慮」すると、スタンドで優位だった方が勝者となる。

どんな判定システムでも、僅差で割れるジャッジが出るのが避けられないのはわかるが、RIZINルールの場合はユニファイドよりも後発なのにユニファイドよりもわかりにくいのが良くない。ジャッジペーパーを公開しないのがRIZINの判断なのかJMOCの判断なのかわからないが、世界中で毎週何百試合と行われているユニファイドルールの試合と比べて参考にできる情報(試合)が少なすぎるのだから、もっと情報公開をしていくべき。実況陣にJMOCの審判員を1人入れて、この試合はどこをどう評価しているのかと説明してくれれば分かりやすい。

追記:JMOCがtwitterでジャッジペーパーを公開。

将光 vs. 太田はアグレッシブを取るかどうかの差に。ジェネラルシップ=試合の支配は3者とも組んでケージに押し込み(そこからの攻撃はそれほどなかったが)、テイクダウンを何度も奪った(すぐに立たれていたが)太田に。2者が将光にアグレッシブをつけた。スタンドの打撃の積極性を取ったということか。しかし太田はケージに押し込んでも打撃の手数では将光だったし、テイクダウンしてもすぐに立たれていたので、それで試合を支配していたという判断はグラップラーに有利すぎではないか。

案の定ジェネラルシップのみの差で割れる。

3者ともバラバラ。中村のダメージを取ったのは1人のみ。ヒロヤは3Rのダウン後に割と動けていたので、ここがイーブンになるのは分からなくもない。アグレッシブは1人のみ中村を評価し、ジェネラルシップは3者ともテイクダウンを何度も奪ったヒロヤに入った。

やはりテイクダウンを取った場面が多い場合はジェネラルシップは割れない模様。

見事なまでにバラバラ。差がなければイーブンのはずのアグレッシブが真逆に割れるのは、どちらかが間違っているのでは。ジェネラルシップも割れている。明確なテイクダウン・抑え込みでコントロールされていた時間が短かったこの試合でも、組んでいく側にジェネラルシップが入るのか。

判定3-0だったヤマニハ vs. 所、ボントリン vs. 村元も内容を見ると判定結果は統一されていないし、全員が揃った判定はゼロ。このシステム(特にトータルジャッジ)は判断が分かれすぎる。

*1:斎藤 vs. 朝倉未来1など

*2:大原 vs. アキラなど

*3:ただし、あくまでこれはルールの説明であり、ルールの条文そのものは公開されていないので、別の基準などがあるといった可能性もある。

タイトルとURLをコピーしました