茶道に触れて一期一会 【ブルート通信vol.191 / 明生人嘉119話】

過去コラム 高校生のとき、トム・ハンクス主演の映画『フォレスト・ガンプ一期一会』に感動し、数年に一度見返しています。知能はやや低かったけれど、素直で愚直な男の物語です。 「人生はチョコレート箱と一緒よ。開けてみるまで中身はわからないわ」と主人公フォレストの母は事あるごとに言いました。話題の量子力学と同じですね。 この映画は、観る度に印象が変わります。若いときは若いフォレストに自分を重ね合わせ、年上になった主人公に憧れました。大人になれば大人のフォレストに自分を投影し、年下となった彼を懐古するようになりました。もうしばらくぶりなので、久しぶりに観たいなあ。 ところで、私は2013年に辞書の旅を始めました。辞書を一から読み進めていくと、あ行の「い」でフォレスト・ガンプのサブタイトルの一期一会が出てきます。 一番最初に読破した新明解の一期一会の語釈には「茶の湯」が、続いての明鏡には「茶道」。併読した新明解四字熟語辞典には「茶道」「茶会」「千利休」、故事ことわざ辞典には「茶会」「茶人 千利休」。ただいま挑戦中の広辞苑には「茶会」「利休」という言葉が含まれます。 そう、一期一会はもともと、茶道の心得を表した言葉だったのです。どの茶会も一生にただ一度のものと心得て、主人も客も共に誠意を尽くすべきであり、誠実な心で人と交わるべきだ、という教えです。粋であり、思いやりであり、そしてまた、愛に繋がりますね。 四字熟語辞典には、一生に一度だけの機会。生涯に一度限りであること。生涯に一回しかないと考えて、そのことに専念する意、とあります。これを踏まえると、フォレスト・ガンプの内容はまさに一期一会と呼べます。人生で何度も観る映画は貴重です。その副題として使われた語が茶道由来とわかり、より興味を持ちました。 人のご縁というのは本当に面白いです。本誌協賛会社主催の勉強会(34p)で、なんと茶道に触れる機会に恵まれたのです。 昔、お茶の世界は社交場としても使われていたそうです。なぜ最初に、わざわざ狭い入り口(躙口)に頭をかがめて入って行く続きをみる

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