【写真】とてもテイクダウンが強烈に強いようには見えなかったケレハー戦のステーマン (C)Zuffa/UFC
修斗暫定世界バンタム級チャンピオン岡田遼が語りたいUFCプレリミマッチ。
第5回からは6日(土・現地時間)のUFC250で行われた140ポンド契約マッチ=コディ・ステーマンブライアン・ケレハー戦について話してもらった。
──過去1カ月、岡田選手が気になるプレリミ3試合目は?
「ステーマンとケレハーの試合が、この1カ月のプレリミで一番でしたね。いや……ステーマン、あの人ってレスラーなんですよね?」
──NCAAのD-2レスラーですね。でも、高校の時からボクシングもやっていてMMAはダロン・クルックシャンの下で習い、昨年からエクストリーム・クートゥアーの所属になっています。なんでもボクシングでもプロの経験があるようです。
「そうなんですか……。この試合でも解説が良いレスラーって話しているのに、全然レスリングなんてしていなくて。アレックス・ペレスもそうでしたけどね。ステーマンは正面から打撃を使って、スイッチをしてボディにもパンチを散らすことができていました。でも、蹴りも強力で完成度の高いストライカーでしたよ。アッハハハハハ。笑っちゃいますよね」
──ワンツーだけでなく、スリーまで出せる選手かと思いました。
「あの軸の強さは……3つ目に関して普通は、僕だったら体がブレブレになってしまうと思います」
──ソン・ヤードンと戦った時は、テイクダウンを5、6回決めてバックも制し、さらに蹴り上げの反則があったのにドローという意味不明な判定でした。とにかく、あの試合ではレスリング全開で戦っていました。
「なのに打撃があれだけ強い、と。ケレハー戦のテイクダウンは打撃で支配しておいてニータップだとか、本当にローエナジー、疲れないレスリングをしていましたね。楽に倒していました。
ATTで練習していた時に思ったのですが、日本ではレスリングって一番しんどいことをやるというイメージを皆が持っていると思います。でも、米国の連中はそんな気持ちではないですね。サァーって倒して。全体練習の時もマイク・ブラウンは、力を使わずテイクダウンするようにと口を酸っぱくして言っていたんです。
一生懸命頑張り過ぎないでテイクダウンできるような打ち込みもやりました。テイクダウンで疲れるなということは皆の共通項でした」
──例えばレスリングの試合で実力が拮抗している者と戦い、そんな風にエネルギーを使わず戦えるのは、もう達人かと思います。ただ、打撃もあるMMAではより可能になるのかもしれないですね。
「そうですよね。絶対に倒す必要がなく、倒せなくても打撃に自信があれば、打撃でやりあえば良いですし。ATTで経験してきたのも、そこでした。レスラーが決してレスリングありきではない。
打撃ありきだから、崩れたところでそのレスリング能力が生かせている。ステーマンもそうですよね。蹴り足をキャッチして、テイクダウンを取っていますし。押せば倒れる……一番疲れないことをしていました。なので無駄に自分のスタミナをロスしないで戦うことができる。
ただし、そういう試合をするためには打撃で優位に立つ必要があります。しっかりとストライキングの技術があることで、レスリングが生きていました」
──そして3Rは最初にテイクダウンを奪うと、グラウンドにもいかずスタンドで待ちのファイトをし、最後はテイクダウンを仕掛けてきたケレハーに対しギロチンで迎え撃って、時間を使っていました。
「巧かったです。1Rと2Rは打撃でしっかりと試合をリードして、最終回は時間を使う。ラウンド毎に戦い方を変えて、本当に考えて試合をしていると思います。同じバンタム級の選手ですし、凄く面白かったです。
でもアルジャメイン・ステーリングとやった時は、ここまでの完成度は高くなくてバックとられて負けているんですよね」
──あっ、スロエフ・ストレッチで!
「ホント、ステーマンにあんな技で勝って、サンドハーゲンは最初のテイクダウンでRNCを極めてしまうって……どんだけアルジャメインは強いだって話ですよね(笑)」