【UFC251】ロシアの猛者ボガトフと対戦するレオ・サントス─01─「家でUFCを眺めている方がハード」

ブログ

【写真】ブラジルは感染者数が145万を超え、死者も6万人以上。UFCファイターの陽性も続々と確認されているなかで、レオ・サントスがロシアの新鋭と戦う(C)Zuffa/UFC

7月11日(土・現地時間)、UAEはアブダビのヤス島に建設されたファイトアイランドで開催されるUFC251。メインでUFC世界ウェルター級王者カマル・ウスマンに挑戦予定だったジルベウト・ドゥリーニョ・バーンズが新型コロナウィルスの検査で陽性となり、メインが流れるという衝撃的なニュースが伝わるなか、同大会ではレオナルド・サントスがロマン・ボガトフと対戦する。

ロシア=M-1ライト級王者で10勝0敗のボガトフ戦のオファーは1カ月前、ブラジルの新型コロナウィルス感染は深刻さを増すばかりの状況でレオ・サントスは準備をしてきた。

19歳でホイラー・グレイシーを追い込んだ天才柔術家、同門ヴィトー・シャオリン、レオ・ヴィエイラ、マーシオ・フェイトーザらとライト級四天王時代を経て、MMAデビューは修斗での五味隆典だった。

TUF BRからUFC入り後の戦績は6勝0敗──通算11連勝中のレオ・サントスに、ブラジルの現状とファイトアイランドにおけるロシアの猛者との一戦について話を訊いた。


──ブラジルは大変なことになっていますが、そんななかでファイトアイランドでの試合が決まりました。その前に今、リオデジャネイロはCOVID19の影響で大変なことになっていると思います。レオは変わりないですか。

「神に感謝しているよ。僕のファミリーはここまで問題なく過ごせてきた。ブラジルに関しては、新型コロナウィルスに問題を発しているけど、これは政治の問題なんだ。政治家のゲームが、人々をより混乱させ恐怖に陥れている。ブラジルの持つ問題がCOVID19と相まって、ちょっと狂ってしまった。政治がしっかりしていれば、こんなことになっていなかった。それがコロナウィルスよりも問題だ」

──大好きなブラジルから、バッドニュースばかりが届く状況に我々も胸を痛めるばかりです。大統領の発言も首を傾げるようなモノばかりですしね。

「彼の発言こそ、一番の問題だよ。ちょっとね、どうしてしまったんだっていうような意味不明なことを言って、皆がそこに反論し社会が混乱してしまっている。今、国民がブラジルを良い場所だと思えなくなっている。皆が大統領や政府に納得できていないから、自分の住んでいる国はダメだと感じている。良くないね、この状況は」

──柔術、MMAはブラジルから世界に広まり、たくさんの柔術家、MMAファイターが我々の人生を彩ってくれました。だから何とも言い難い状況ですね。皆が心配です。

「そういってもらえると有難くて、同時に心が痛むよ」

──でも、レオのファミリーが問題ないということだけでもホッとできます。

「ありがとう」

──そして、そのような状況でレオはどれだけ試合の準備ができるのでしょうか。

「僕は普段はリオデジャネイロでなく、リオの北東に150キロほど離れたカンポスに住んでいて、家族と一緒にステイホーム状態だった。そして試合まで1カ月というときにオファーがあったんだ。

デデ(アンドレ・ペデネイラス)から『どうする? 受けるか?』って聞かれて、すぐにチャレンジしたいと思った。調整の時間は十分にない。練習だって普段通りにできるわけがない。だからこそ、この現実を跳ね返し、チャレンジしてやろうって思ったよ。それい自分の都合の良い時に試合ができるなんて悠長に構えていられるほど、僕には時間は残されていないからね。

一緒に練習してくれる4人の友人に連絡をして、リオに向かったんだ。リオにいる間、練習とアパートでの生活とずっと一緒に行動をして、外出も一切できない。簡単ではないけど、皆が僕をサポートしてくれたよ」

──リオに行っても、ノヴァウニオン本部は閉まっていたのではないですか。

「デデは僕とジョゼ・アルドのためにだめにジムを開けてくれた。僕らは練習が終わると、しっかりと全てを消毒してジムを出る。そして入れ替わりでジョゼ・アルドとトレーニング・パートナーがジムを使う。練習後、彼らもしっかりと消毒して家に戻る。つまり、そういう状態で練習していたに過ぎない。正直に言えば、少しビクついていたよ(笑)。

でも1カ月、ちゃんと練習できた。フィジカル・コンディション的にも、問題ないはずだ」

──通常のファイトと比べると、どれぐらいの仕上がりでしょうか。

「う~ん、70パーセントから80パーセントかな……。100パーセントと言いたいけど、それは無理だ。とにかく、この状況で動ける体を創ってきた。簡単なことじゃなかったけど、家にいてテレビでUFCの試合を眺めている方が、もっと厳しい。僕はファイターだからね」

──過去3年で2試合ほどしかレオは戦っていなかったですしね。

「UFCが組んでいた試合で、僕もそうだし対戦相手もケガをしてキャンセルされることが3、4度あったんだ。そんなことが続くと、試合が組まれなくなった……。対戦相手のケガで試合がなくなった時でさえ、僕はすぐにでも戦えたけど声が掛らなかった。いつもケガをしたのが僕ように言われているような気がしていたよ。僕だけでなく、相手だってケガをしていたこともあったのに。

だからこそ、ファイトアイランドで戦えること、このイベントに参加できることにエキサイトしているし、試合が組まれたことが凄くハッピーなんだ。だって、これは歴史的な大会だよ。UFCとダナ・ホワイトは、とんでもないことをやり遂げようとしている。誰だって、このショーに参加したいと思うはずだよ」

<この項、続く>

タイトルとURLをコピーしました