【写真】ミスターパンクラス愛こと坂本靖氏が、しっかりと話をしてくれた(C)MMAPLANET
COVID19のパンデミック、地球はニューノーマルの時代を迎えた。日本でも4月と5月の緊急事態宣言を経て、6月から経済活動が再開も、事態が終息することはない。
MMA界はかつてない状況のなかを生き抜く努力をしている。MMAPLANETでは各MMA大会の主要人物に新型コロナウィルス感染に関しての現状とこれからを尋ねた。
4人目は──8月23日に大会当日の検査で陽性者が出たために、開場の10分前にイベント中止としたパンクラスから、坂本靖統括本部長に27日(日)の次回大会での予防対策に関して話を訊いた。
──8月23日、坂本さんは大会当日中止の当事者になってしまいました。そして、現場の混乱を経験した数少ない格闘技関係者です。
「とにかく中にいるお客さん、選手、セコンドを一刻も早く会場の外に出てもらわないといけない。そこが一番でした。起こってしまったのだから、冷静になろうと言い聞かせていました」
──今、日本のMMA大会では大会前日に抗原検査、それ以前に抗体検査やPCR検査、もしくは当日の検温のみという大会もあります。そのなかで、大会当日の検査というは開催に向けては非常にリスクの高い手段です。先日までに結果を出して、あとは何も起こらないで──というのが、現状のスポーツ界の興行の打ち方です。
「こんなことをしでかして、格好つけるなと思われるでしょうが、やはり当日の検査で無症状の感染者を見つけたい、選手とお客さんを守るために当日のギリギリのところで検査をするのが一番だという判断なんです」
──そしてイベントが中止になった。これが続くと、興行会社として死活問題です。9月大会は無観客、当日計量フォーマットを採り入れることになりました。
「無観客に関していえば、もう一度フラットに見直して徹底しようということですね。選手を守る、お客さんを守るために中止にした。英断という風に言われれば格好良い話になっていますが、大会ができなかったという大きな事実が残っています。
ならば新型コロナウィルスというものに、もう一度フラットに向き合って大会前、大会当日、大会後のケアを見直す。そのなかで、無観客でやることになりました」
──それらの決定は、どのようなメンバーで話し合われ実施されることになったのですか。
「酒井、ドクターが3名、パンクラス役員で話し合うなかで、医療コーディネイターの方を紹介していただき、色々と相談に乗ってもらっています」
──医療コーディネイター?
「ハイ。『倍返しだ!!』で有名な某ドラマなども収録が延びたり、放送を中断したりしたことがあるじゃないですか」
──ハイ。
「映画やTV業界でも、そういう医療コーディネイターの人達が感染リスクを考え、撮影などの進め方のアドバイスをしているんです。パンクラスもそういう方に加わってもらって、色々と進めてきました。あとはドクターから水抜き減量は絶対的に免疫力が落ちて、感染リスクを高めるので考え直しましょうと。そんな風に提案があり、話し合うような形ですね」
──厳しい言い方になってしまいますが、既に当日計量は行われてきました。要はライバル団体との違いを出すことが必要だったのでしょうか。
「当日計量と1階級上のクラスにすべきだという意見は、パンクラスでも以前からったんです。ただし、我々はユニファイドに拘りたい。米国では今も前日計量が行われている。そこを追求したいという部分があったのですが、試合の中身がユニファイドであれば、選手の安全を考えて前日計量に拘る理由はなかったはずです」
──その通りですね。では検査に関しては、次回大会からはどのようにしていこうと考えられていますか。
「当日に抗原検査をします」
──感染拡大予防のために陽性者が出たら大会を開けないという同じ轍を踏まないために、どのようなに前回のことを教訓にできているのでしょうか。
「前回の失敗は会場のなかで、ケージ脇で検査をしたことです。陽性者の人を会場内にいれてしまった。なぜ、そんなことをしてしまったのか。そこには感染者はいないだろうという楽観的な考えがあったことは、今となっては否定しようがないです。
次回大会はセコンドも1名だけで、マネージャーやライセンス保持者も会場に来ることはできないです。選手とセコンドの2名が会場に入る前に、会場の外のテントで抗原検査をします。
なおかつテントやテントの外に人が集まってしまうと同じになりますから、ネオブラ、プレリミ、メインで入り時間を分け、かつ赤コーナーと青コーナーを分ける。
そして、時間厳守で他の時間帯では検査は受けられないようにするということですね。都内や近郊の選手に限られてしまいますが、会場には車で来ていただき、駐車場を選手に開放して車の中で検査まで待機してもらいます。もちろん、テントの前で多少は待つようなことがあれば手指消毒、マスク装着、ソーシャルディスタンスは徹底してもらいます」
<この項、続く>