【写真】トレイラーと違い、すっきりした髪になっていた野瀬(C)MMAPLANET
本日22日(月)、東京都渋谷区TSUTAYA O-EASTで開催されるRoad to ONE04「Young Guns」。
5年後の日本の格闘技界を考える──というテーマを持った今大会に九州・福岡から野瀬翔平が出場し、吉野光と対戦する。
柔道で瀕死の重傷を負い、一命をとりとめた高校生生活。柔道で鍛えた首の太さが、彼の命をつなぎ止めた。それでも医者からは「歩くことはできない」という診断を受けた野瀬──それでも彼は諦めず、戦える体を取り戻すとMMAを志した。
そんな壮絶な過去を感じさせない、朴訥とし言葉少ない23歳の青年は、昨年9月の工藤諒司戦の敗北から5カ月ぶりに、O-EASTでケージに足を踏み入れる。
そんな野瀬を試合僅か3日目にZoomでインタビューした。
──頭が綺麗になっているじゃないですか。あの大会煽りのトレイラーを見た時、野瀬選手に何が起こったのかと驚かされました。
「へへヘ、アレは急に連絡が来たので髪の毛を切りにいく時間がなくて……」
──試合の時とイメージがまるで違っていました(笑)。いつもあんな風なのですか。
「切らないで良いのであれば、切らなく良いぐらいの感覚です。あの取材の時ぐらいになれば、そろそろ切ろうかなっていう感じで(笑)」
──なるほど。その辺りは、もっとシャレているのかと思っていました(笑)。ところで3日後に試合を控えていますが、調子の方は?
「絶好調です」
──今回、奇天烈選手の欠場により今大会に出場が決まり、67キロ契約になります。
「65キロでやろうと思っていたのですが、時間もないし吉野選手が同意するなら67キロでもと言ってもらえて、この体重になりました」
──減量期間を考えてのことですか。野瀬選手は北米ユニファイドではナチュラルでフェザー級、ONEのバンタム級が適正だと思っていました。
「前回の試合からかなり大きくなっています。先生とウェイトをやって」
弘中邦佳Master Japan代表 真面目なヤツだから、フィジカルをガンガン鍛えて体が大きくなっているんです。本当は自分の経験があるので、選手キャリアを考えるとあまり減量はさせたくないのですが、頑張るから筋肉がついてしまって。
──昨年9月の工藤諒司戦の敗北から再起戦となります。初めての敗北はショックでしたか。
「工藤選手に負けて……初めて負けたのですが、やられてしまったものはしょうがないです。負けは負けで仕方ない。だから落ち込んで練習をしないとかなる方がダメで、体を動かせるようになったらすぐに練習を再開しました」
──弘中さんから何か言葉は?
「ハイ。続けろ──と」
──続けろ、ですか(笑)。あの試合はケージ際でヒジを受けてからパンチで仕留められた形でした。
「ハイ。際のヒジとか警戒していたのにもらってしまって、そこから記憶が飛んでいて。あとから試合映像を見て──負けたけど、自分の良かったところ。工藤選手の良かったところ。そして、自分の悪かったところを考えて練習してきました。
工藤選手の強かったところとかを真似したり。壁際の攻防とか、工藤選手の強さを盗んで僕もまた強くなれたかと思っています。だからといって練習を大きく変えたというのはありません。柔術をやって、打撃をやって。変わったのは壁の攻防ですね。ヒジ打ちをもらってことで、練習ではできない攻撃を想定して行えるようになりました」
──対戦相手の吉野光選手については、どのような印象を持っていますか。
「決まってから映像を見たのですが、柔道をやっていて気が強いので僕と似ていると思いました。打撃から差して、テイクダウンをするという試合スタイルで。
ただし、寝技に行ってから僕は抑え込まないというか……良くも悪くも動いてしまうので、テイクダウン後は違います」
──奇しくも動いてしまうという言葉がありましたが、実際に試合中も弘中さんからは「落ち着いて」という指示があっても、極めに行くこともありました。
「もっと削るべきなんですけど、すぐに仕掛けて下になってしまうこともあったので、そこも考えるように練習してきました」
弘中 行くところが、コイツの良いところでもあるので。その良さを失くさない程度にゆっくりと攻めることも必要かと。そこはもう経験を積んでいくしかしないですね。
──吉野選手は名古屋在住で札幌、大阪、名古屋の独立系プロモーションで戦ってきました。修斗とRoad to ONEでキャリアを積んだ野瀬選手に対し、経験では負けないとインタビューで言っていました。
「その通りだと思います。吉野選手は試合数も僕より多いし、海外でも戦っています。ただし、対戦相手に関しては工藤選手と僕は試合をしているので。工藤選手より強い選手はなかなかいないと思っています。
僕は負けたけど、工藤選手と戦って凄く良い経験ができたので。そこだけは『僕も強い相手と戦っているぞ』という気持ちはあります。それに誰と戦ってきたとか、そんなのは関係ないです」
──上を取った方が勝つ、という発言に関しては?
「僕は柔術が好きで、柔術を凄く研究しているので下になっても仕掛けることができます。スイープも一本も取れる自信があるので。僕にはMMAが上の取り合いだという感覚はないです」
──では吉野選手との試合で、どのような戦いがしたいと思っていますか。
「前回の試合からちょっとでも自分が強くなっていると思える試合がしたいです」
──今回、5年後の格闘技界のためにというテーマがありますが、実は2019年の10月売りのゴング格闘技で、「ファイティング・デイズ──3年後の君たちは──」という企画で野瀬選手を取り上げさせてもらったことがあります。あの時、野瀬選手、野尻定由選手、伊藤裕樹選手と共に取り上げさせていただいた米山千隼選手が、最短距離でUFCへ行けなかったということで昨年引退を決めました。本当に残念ではありますが、清い判断でもありました。戦っていたプロモーションは違いますが、同世代の期待された若い選手が、早々に引退を決めた。野瀬選手は米山選手の決断をどのように思いますか。
「……(苦笑)。米山選手の生き方に僕が何かをいえることはないかと思います。それは米山選手の選んだ人生なので。米山選手は米山選手で、僕は僕。だから僕は1回負けてもMMAを辞めることはなく、こうやって試合をします」
──そうですね。愚問でした。スミマセン。では、今回の試合を起点に2021年はどのようにキャリアアップしていきたいですか。
「どこかの団体に拘りがあるわけではなくて──試合の機会がまず少ないので、きたオファーを受けます。修斗でもRoad to ONEでも、ONE Warriorでも。この3つ以外でも、声を掛けてもらえて試合ができるなら、どこの大会でも出たいです」
──正直、今大会の出場に関して個人的に野瀬選手は代役でなく、最初からラインナップにその名を並べていないといけない選手だと思っています。
「ありがとうございます。オファーがあった時は試合ができることが、とにかく嬉しかったです。5年後の日本格闘技界のためとかっていう話は、試合が終わった後にそう思ってもらえるなら良いですね。『5年後、コイツどうなっているのかな』って思ってもらえる試合がしたいです」
■視聴方法(予定)
2月22日(月)
午後4時15分~ ABEMA格闘チャンネル
■Road to ONE04 対戦カード
<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
平田樹(日本)
中村未来(日本)
<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
長田拓也(日本)
葛西和希(日本)
<フライ級(※61.2キロ)/5分3R>
小川徹(日本)
山中憲次(日本)
<キックボクシング54キロ契約/3分3R>
有井渚海(日本)
平松侑(日本)
<67キロ契約/5分3R>
吉野光(日本)
野瀬翔平(日本)
<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
岩本達彦(日本)
中田大貴(日本)
<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
安芸柊冬(日本)
山北渓人(日本)
<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
風間敏臣(日本)
前田浩平(日本)
<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
田上こゆる(日本)
リトル(日本)
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