【写真】ノーギ、MMAにも使える技も少なくなく、競技柔術的でありながらその本質が見られるサウロ・ヒベイロらしい技術解説書となっている (C) MMAPLANET
国内外のMMA大会の中止及び延期、さらには格闘技ジムの休館など、停滞ムードの真っただ中です。個人的にも大会の延期と中止のニュースばかりを書かざるをえない時期だからこそ、目まぐるしい日々の出来事、情報が氾濫する通常のMMA界では発することができなかったMMAに纏わる色々なコトを発信していければと思います。こんな時だからこそ The Fight Must Go On──第15 弾は必読の技術書紹介第3回として「Jiu-Jitsu University」を紹介したい。
Amazonのカスタマーレビューが1066件で星4.9という驚異の高評価を受ける技術書とは!!
「Jiu-Jitsu University」──カリフォルニア州サンディエゴにあるサウロ・ヒベイロ率いる柔術アカデミーの名称そのもの柔術の手引き。サウロの語りを教え子で2008年の上梓当時は紫帯だったケヴィン・ホーウェルが纏めたオール4色、370ページからなる超大作だ。
技術解説は第一章(ホワイトベルト)~第五章(黒帯)と5つのチャプターで構成されており、第四章は教え子のパウロ・パウロ・ギロベル以外はほぼ多くの受けを実弟シャンジ・ヒベイロが務め、またごく一部のみディエゴ・モラエスとジョー・ヴァンブラックルのコンビが実演をしている。
技の解説文は全てサウロの1人称で説明されており、非常に分かりやすい。英語のリスニングやスピーキングが苦手なMMAファン、柔術家の方でも十分にリーディングできるだろう。
白帯から黒帯へと変化する技術だがサバイバル→エスケープ、ガードワーク、パスガード、サブミッションという順序になっているのも、またサウロの柔術哲学を表している。
本著の素晴らしい点は、先に記したようにオールカラー、説明写真は多くの場合が2つの角度から撮影されており、並行して配置して説明がなされる。
加えて間違った例の解説もしっかりとされている点も詳しく解説がついている。さらに受けと重なる場合は受けのいない──エアー〇〇という状態での連続写真も数多くあり、技術書としての完成度は外国の書籍は随一といえる。
40種類の技術が、一つの技は最大22項目に渡るなど、多岐に渡るパターンの解説が加えられているのも嬉しい。その紹介されている技術はもうサウロならでは。第1章=サバイバルで見られるバックからの生き残り方法などは、日本のトップMMAファイターとサウロの下を訪れた時に、彼らがその説明を受けて目から鱗が落ちるという表情を浮かべていたのと同じ技術が紹介されている。
全編道着着用だが、カラーチョークやラペラを使った技以外は、袖や裾を掴むということはほとんどなく。ヒジの裏を押す、手首を掴むというようなノーギで使える技術が満載。
またマットへの手のつき方や、ヒザで相手を制するポイントなどMMAファンやファイターも必読の技術書──「Jiu-Jitsu University」はサウロの柔術が詰まっている1冊だ。