【ONE113 Inside the Matrix03】ユーリ・シモエス「護身柔術は我が身を守り、相手を支配するアートだ」

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【写真】ラッシュガードがなく、MMAグローブをつけていてもこういうシーンはありそうだ (C)SATOSHI NARITA

13日(金・現地時間)に中継されるONE113「Inside the Matrix03」でユーリ・シモエスがファン・ロンを相手にMMAデビュー戦を迎える。

2度のADCC王者、ノーギワールドも2度制し、道着ではパン柔術を制しているシモエスはチェックマットやカイオ・テハという生粋の競技柔術思考を思いきや──ヒクソン・グレイシーのファンだった父を持ち、MMAでなくバーリトゥードに憧れた幼少期を過ごしてきた。

MMA初戦を目前としたファイトウィークのスタート時点でインタビューを受けたシモエスは、「僕の人生において柔術の章は終わり、MMAの章が始まる」と断言した。


──MMAデビューを前にどのような気分ですか。

「少し前まで凄くエキサイティングしていたけど、試合が近づくほどに集中力が増して、落ち着いてきたよ。あとはケージに入って、自分の力を世界に見てもらうだけさ」

──コロナ禍がデビュー戦に影響することはなかったですか。

「去年ACLの手術をし、動くことがデキるようになった時にONEとサインをした。MMAはずっと戦いたいと思ってきたし、自分の人生で新たな目標に向かう時期がきたんだ。契約をしたときはまだパンデミック前だったから、6月か7月にデビュー戦を戦うつもりだったけど、コロナの影響で4カ月ほど遅れたことになる。

でも、しょうがないことだし何も不満はない。そして、より準備ができたと思っている。コロナ禍でも、自分に必要なことはやってきた。こんな状態だからこそ、自分でそれを見つける必要があったし、そこも踏まえてパンデミックだからこそ強くなれた部分もあるはずだ。

普段なら簡単にできるトレーニングも練習パートナーを見つけ、いつもより離れた場所にドライブが必要になった。だからこそ、自分の意志を確認できたよ。僕は1000パーセントの努力をし、最高のコンディションをキープできていた」

──MMAを戦いたかったということですが、いつ頃から本格的に考えていたのですか。

「僕が柔術を始めた7歳の時、まだMMAはバーリトゥードと呼ばれていた。父が柔術の練習をしていてヒクソン・グレイシーのファンだったし、ジャパン・オープンを一緒に見たことを覚えているよ」

──ユーリが4歳の時ですよ!!

「きっとビデオか何かだったんだと思う(笑)。そして父に『この人みたいになる』って言ったんだ(笑)。柔術を始めたけど、それはバーリトゥードではなかった。だから、ヒクソンが戦っていたバーリトゥードのファイターになりたいと思うようになったんだ。

そして今、僕の人生は柔術の章を終えてMMAの章に入ったんだ。マーシャルアーツとして柔術を続け、この日の準備をしてきたんだよ」

──2度のADCC王者、そしてノーギワールドでも優勝しているユーリですが、柔術とMMAはヒクソンの時代と違い、重なっている部分は残っているとしても別競技になりました。

「その通りだ。柔術はスポーツになった。僕が柔術を始めたのは伝統的なスクールだったんだ。先生はヒクソンの黒帯でハンターのオーナーだったマウリシオ・ミゲール・ペレイラ……マウリサォンだった。

マウリサォンは僕に護身術としての柔術の全てを指導してくれた。彼の柔術はバーリトゥードを考慮したものだった。イエロー、オレンジ、そして青帯を貰った時にマウリサォンは亡くなった。でも彼によって、僕は今や柔術が失ってしまったエッセンスを学んでいたんだ。

他の全ての格闘技に勝っていた時代の柔術は、トーナメントの柔術とは違う。でも、僕はスポーツ柔術だって大好きなんだ。素晴らしい技術で、人生を賭けるに値するスポーツだ。ただし柔術はレスリングと同じで、スポーツなんだ。

僕が習った護身としての柔術は我が身を守り、相手を支配するアートだ。と同時にバーリトゥードとMMAも違う。一つの競技で勝てる戦いではなくなった。今や何でも練習していないとMMAでは勝てない。

過去18年、スポーツ柔術の最高の舞台で戦ってきたから皆は僕をこの世代のスポーツ柔術家だと思っている。間違ってはいないけど、僕は自分がなぜ柔術を始めたかを忘れたことはなかったし、その価値も忘れていない。そして、当時からの想いがMMAの転向した僕の基盤になっている。スポーツ柔術の試合に出ている時にもミルコ・クロコップ、ファブリシオ・ヴェウドゥム、ジョシュ・バーネットらと練習をしてきたしね。

そして2016年からAKDで練習し、カビブ・ヌルマゴメドフ、ジェイク・シールズといったレジェンドたちとトレーニングもしてきた。ずっとMMAとはコネクトしてきたんだ」

──ユーリはノーギの時は特にトップから攻めるという印象が強いのですが、それはMMA志向と関係があるのでしょうか。

「ADCCが僕の最高のタイトルだから、そういう風に思われるのかもしれないけど、柔術ではいくらでもボトムからの仕掛けて勝っているよ。ADCCは3度出場した。でも柔術では300戦以上戦ってきた(笑)。ボトムだって得意なポジションだよ。そうだね、戦い方っていうのはルールで変わるものなんだ。

クローズドガード、ハーフガード、デラヒーバガード、50/50ガードで勝ってきた。パスで勝ってきた。テイクダウンで勝ってきたんだ。

IBJJF、 ADCC、 EBI、コンバット柔術、ACB柔術で戦ってきた。ドーギ、ノーギ、ポイント、ポイント無し──ルールの特性に合わせて戦うんだ。

多くの人間は自分の得意なルールの試合で戦う。でも、僕はどんなルールでも戦ってきた。どのルールでも最高の相手と戦ってきたんだ。それが僕のチャレンジなんだよ」

──MMAでは柔術の技で勝ちたいと思っていますか。それともMMAの技で勝ちたいですか。

「僕は柔術家だ。柔術家として生まれ、柔術家のDNAを持つ。24年間、柔術をしてきた。それが僕の人生だった。と同時に、柔術でも常に多様性を追求して戦ってきた。試合では自分の望まない形で戦わないといけないこともあるからね。MMAも同じ思考で戦うよ。だから過去8カ月は打撃に集中してきたんだ。そうすることで、柔術をより有効に使うことができる。

打撃とテイクダウン、打撃とクリンチを合わせて、僕の柔術を最大限に使える試合をする。それこそが今回の試合に限らず、僕がMMAでチャンピオンになれるかどうかのカギになるんだ」

──対戦相手のファン・ロンの印象を教えてください。  

「良い相手だ。きっとランキングの6位のはず。ただ対戦相手のことでなく、自分のことを考えているよ。そうでないと自分を見失ってしまう。まだデビュー戦だけど、いやデビュー戦だからこそ僕にはONE世界ミドル級チャンピオンになる力があることを示したい。

MMAを体験したいから戦うんじゃないんだ。MMAを征服する。アジアを征服するんだ。ONEを征服してチャンピオンになる。柔術家を代表して、MMAを支配する。ベストになるために、とてつもなくハードな練習をしてきたからね」

■視聴方法(予定)
11月13日(金・日本時間)
午後9時30分~ ABEMA格闘チャンネル
午後9時30分~ONE App
毎週木曜、26時05分~テレビ東京「格闘王誕生! ONE Championship」

■ONE113 Inside the Matrix03対戦カード

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
ジョン・リネケル(ブラジル)
ケビン・ベリンゴン(フィリピン)

<64キロ契約/5分3R>
ソン・ミンジョン(韓国)
ジェヘ・ユースタキオ(フィリピン)

<ウェルター級(※83.9キロ)/5分3R>
ムラッド・ラマザノフ(ロシア)
手塚裕之(日本)

<ミドル級(※93.0キロ)/5分3R>
ユーリ・シモエス(ブラジル)
ファン・ロン(中国)

<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
箕輪ひろば(日本)
リト・アディワン(フィリピン)

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