26日(金・現地時間)、テキサス州ヒューストンでノーギグラップリング大会Who’s Number One(WNO)07が開催された。世界最強のノーギグラップラーであるゴードン・ライアン、そのチームメイトにして最大のライバル候補であるニック・ロドリゲス、さらに最軽量級柔術絶対王者マイキー・ムスメシら、注目選手の試合レビュー。
第2回はレスリング力で注目を集めるニック・ロッドことニック・ロドリゲスと、意地を見せたいユーリ・シモエスのマッチアップの模様をお届けしよう。
Text by Isamu Horiuchi
<15分1R>
ニック・ロドリゲス(米国)
Def. 3-0
ユーリ・シモエス(ブラジル)
試合開始後、すぐに座ったシモエス。ロドリゲスも腰をおろすと、前傾姿勢で上半身をシモエスに預けてボディロックで固定する。さらにすぐにシモエスの左足を超えてハーフを取ったロドリゲスは、そのままシモエスの上半身を制したまま左足を上げて、パスに成功する。なんと僅か1分足らずでADCC2階級王者のガードを攻略したのだった。
が、シモエスも直ちに横転し、両足をロドリゲスの右足に絡める。さらにシモエスは左で半身になってワキを差しにゆく。ロドリゲスは低く体を預けてそれをさせない。徐々に胸を合わせていったロドリゲスは、シモエスの背中をマットに付けさせた。派手な側転パスガードを連発した前回のADCCとはまったく違い、ロドリゲスは時間をかけて隙間を潰してゆくトップゲームでシモエスを封じている。
ボディロックで上半身を殺されているシモエスは、なんとかバタフライに戻すが、次の瞬間ロドリゲスはシモエスの両足を超えてマウントへ。が、シモエスも下から懸命に動き、なんとか足を戻してみせた。
その後もシッティングやバタフライで仕掛けたいシモエスに対し、ロドリゲスが上半身を預けてボディロックを取り、シモエスの動きを殺す展開が続く。そこからロドリゲスは見事な腰捌きで足を超えてハーフに入り、さらにサイド、マウント、バックを取りかけるが、そのたびにシモエスは必死に動いて体勢を戻す。シモエスはロドリゲスの侵攻を防ぐのに精一杯で、ほとんど有効な仕掛けを作れないまま時間が過ぎていった。
残り時間が少なくなってきたところで、展開を作りたいシモエスはインバーテッドガードを試みるが、ロドリゲスは距離を取る。一度立ったもののまた座ったシモエスに対し、ロドリゲスは直ちに飛び込んでからだを預け、またしてもボディロックでシモエスの上半身を固定した。
終了間際、シモエスは下からロドリゲスの左足をたぐるが、世界屈指の足関節集団ダナハー軍に所属しているロドリゲスはあっさり距離を取り、時間切れとなった。
判定は3-0でロドリゲスに。「以前のようにレスリングに頼るのではなく、柔術技術の進歩を見せたい」と事前に語っていた彼はボディロックで密着して上半身を殺し、腰を使って相手の足を丁寧に超えてゆく柔術的な発想のトップゲームにて、世界トップグラップラーを完封──予告通りに進化を見せつけての完勝だった。
ちなみにこのボディロック密着系のトップゲームが、最強のチームメイトであるゴードン・ライアンが前回見せた見事なパスガード──腰高前傾で、スペースがある状態で足を捌く形──とは対照的なものであったことも興味深い。
無限の可能性を秘めたロドリゲスが今後、どう戦いの幅を広げてゆくのか、そこに持ち前のレスリング力をどう織り交ぜてゆくのか、興味は尽きない。
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