【写真】レスリングの動きが自然とできる。これはMMAで結果を残すうえで大きな武器といえる (C)MMAPLANET
2月22日のRoad to ONE04で安芸柊斗を下した山北渓人インタビュー後編。
専修大学卒業までみっちりとレスリングをやり込んだ──それがMMAのためになると断言した山北は、その言葉を立証したかのようにがぶり&ヒザ蹴りという攻撃を安芸戦でも見せていた。
Road to ONEで修斗ランカーに勝った勝利を今度、どのように生かしていくのか。そして、彼にとって如何に山崎剛Me,We代表が大切な存在であるかを訊いた。
<山北渓人インタビューPart.01はコチラから>
──ぶっちゃけて言うと、北米ルールよりもONEルールの方が戦いやすいというのはなかったですか。
「そうでね、がぶってヒザが打てますし。レスリングって力が必要だと思われがちですけど、ずっと練習しているとパワーを使わなくなってくるんです。力を使わずに抑えて、ヒザを蹴ることができるのは有利な点だと思います。
本当にトップ選手は合気道みたいに力を使わないで、相手を倒し、制することができるんです。専修大学のヘッドコーチは佐藤満先生(※ソウル五輪52キロ級金メダリスト。世界大会で銀1、銅2獲得)で、もう60歳近いのですが重量級の学生でも結構ボコボコにしてしまうんです」
──!!
「力を使っていないと先生は言うんですけど、やっていると凄く力は感じます。力がちゃんとある人が、力の要らない組み方をするので、まるで歯が立たないです。今、柔術家やグラップラーとも練習させてもらっていて、ボコボコにされていて強いなとは思っています──けど、佐藤先生の強さは別物で。クオリティというか、完成度が凄いです」
──それだけレスリングをやってきて、MMAの難しさはどこに感じていますか。
「やはり打撃があるので、最初の頃は別々になってしまっていました。今もそうなりがちなので、打撃と組みの繋ぎ目を気にして練習しています。レスリングは勝手に体が動くので、ネオブラの決勝で殴られて飛んでいる状態で、自分でも気づかないうちでテイクダウンを仕掛けていました。
だから今回の試合は、打撃だけをやる感覚で入ると、体が勝手にテイクダウンを仕掛けて一体化していた感じです」
──安芸柊斗選手は当て勘が良く、初回は圧されていました。その打撃だけと思って自然とテイクダウンにいける動きこそ、安芸選手は予期できない組みになっていたのかもしれないですね。
「もともと警戒していたのですが、安芸選手は打撃が凄く上手かったです。カウンターが得意で、距離を作るのが上手いのでなかなか入れなかったです」
──2R、セコンドの山崎さんが『(前日にDEEP暫定フライ級王座に就いた藤田)大和もやり切っただろ。お前もやり切れ』という指示を出されていたのが、凄く印象に残っています。
「しっかりと試合中にでも、聞こえていました。疲れて楽をしたいと思いそうになっていたところで、あの一言で体に鞭を入れることができました。山崎さんのセコンドが心強くて、試合中でも自信を持たせてくれます」
──普段から面倒見の良い山崎さんに、アレを言われると動くしかない?(笑)。
「そうですね……。山崎さんは本当にいつもジムにいますし、それだけ自分のことを分かってくれているので。だから試合中に休もうとしているのも分かるんだと思います。本当に山崎さんがいてくれて、やりきることができました。
大和さんも打撃は当然ですけど、組みも凄く強くて。打撃で大和さんより強い人はいないと思うので、そこも安芸選手との試合をするにも、自信を持って戦えた要因です」
──今、ジムには同じレスリング出身で、UFCファイターの村田夏南子選手もいます。
「夏南子さんは男が相手でも、ばんばん倒しにいきます。僕は自分より大きな人とやると、敵わなくてもしょうがないというところがあるのですが、夏南子さんはそういうことが全然ないんです。お構いなしに、向かっていきます。
僕も男なので、女の人とやるときは力をいれないで練習するようにしているのですが、夏南子さんとするときは力を入れないとやられてしまいます。
Me,Weはストロー級でも本当に良い練習相手が多いです。ケガでフルにはできないですけど、神部(建斗)君もいますし。凄く良い練習ができていると思います」
──ところで、今回は自分などはなぜ山北選手がネクスト・ヤングガンズ・アワードでなかったのかと憤りを感じてしまっているのですが。
「ありがとうございます。僕も実は少し期待していたので、そう言ってもらえると嬉しいです。
それでもRoad to ONEで勝てたことは大きいです。ABEMAで色々な人も視てくれて……僕は戦績的にはまだ無敗ですけど、ここ2試合は判定勝ちだったので、今回の勝利は本当に良かったと思います」
──修斗という試合で勝てたことも、大きいかと思います。この勝利をどのように今後のキャリアアップに結びつけていきたいと思っていますか。
「今回、寝技でのヒザありルールということで、フィニッシュに結び付けることができたと思います。ただ、ヒザ無しでもフィニッシュはともかく、勝てることはできたと考えています。だからルールに拘らず、ストロー級で頭が抜けているところを見せたいです」
──Road to ONEを経験しましたが、パンクラスの活動再開がなった時は、どのような舞台で戦いたいと思っていますか。
「今回、この機会が巡ってきて生かすことができました。フィニッシュもできましたし、またチャンスが巡ってくると思っています。パンクラスが先か、他のチャンスが先かわからないですけど、与えられた機会を生かしていきたいです」
──修斗のランカーに勝ちました。修斗で安芸選手より上のランカーと戦いたいという気持ちは?
「あぁ……。う~ん……。Road to ONEがまたあって、呼んでもらえた時に修斗の選手から、僕と戦いたいと言ってもらえるようならやりたいです。どんどん上に行きたいですし、チャンスがあればモノにしたいです。でも同時に山崎さんが『焦らないで』と言ってくださっていて。
今回の試合は格上の相手を選んだのですが、じっくりと力をつけたい気持ちもあります。正直、打撃とかまだまだ全然なので。組みもフィジカルでカバーしている部分多くて……、やっぱり一歩、一歩、進みたいです」
The post お蔵入り厳禁【Road to ONE04】山北渓人─02─「山崎さんの一言で体に鞭を入れることができました」 first appeared on MMAPLANET.