【写真】自分がある。言葉を持つ。自信があるのだろう(C)MMAPLANET
15日(木・現地時間)に中継されるONE118:ONE TNT02で、上久保周哉ミッチェル・チャマール戦が放送される。
この試合、本来であれば上久保はトロイ・ウォーセンと戦う予定だった。MMAPLANETではウォーセン戦に向け、上久保のインタビューをABEMAのドキュメンタリー番組=THE WONDERと共に行っていた。
トロイ戦に関して、耳を傾ければ傾けるほど──上久保周哉にとってのMMA、グラップリングとは何なのかが見えてきた。ここでは幻となったウォーセン戦を前提に上久保が語ったことで、彼のことをより知ってもらおうと──お蔵入りせず──そのインタビューを掲載したいと思う。
──MMAは2019年の11月、ブルーノ・プッシ戦以来となります。頬がこけていますね。
「そうですか(笑)。体重はあまり変わらないんですけど、そういう風に言われることが多いです」
──ただ、泰然としているところは変わらないように見えます。
「格段、気合が入るとかはないですし、言ってみると普段と余り変わらないですね」
──この試合が決まったのは、いつ頃だったのですか。
「結構、早かったです。2月の中旬か終わり頃だったかと。1カ月以上あるなって思っていたので」
──試合が決まると、試合用に練習は変わってくるものですか。
「最初の頃はそんなに変わらないです。少しずつ変わってくる感じで。ただ相手のことを考えて変えるのではなくて、自分が強くなる方向で変化を加えています。柔術やグラップリングで立っている状態、壁や金網がないところでのレスリング的な部分を増やしていますね。自分で強化しないといけないと洗い出した部分なので」
──道着の練習は?
「変わらずやっています。週に3回ぐらいですかね。試合が近づいてくると、TRIBEのプロ練習も合わせてMMAのスパーリングも週に2回か3回で。5分のMMAスパーよりもシチュエーションを限定しているスパーリングの方が多いです」
──今回の試合、楽しみなのは……上久保選手にとって厳しい局面があるからということに通じて来るのですが。フォークスタイルと柔術を融合させたウォーセンと、上久保選手のグラップリングMMAがどのように展開されるのか。特にフォースタイルを習得してきた選手との対戦は初めてだと思います。
「ちゃんとレスリングをやっている選手……そういう意味ではステップアップを求められているというか。自分が今後やっていくには、越えていかないといけない相手です。しっかりとレスリングのバックボーンがある選手と肌を合わせることは、自分に必要な経験だと思っています」
──上とか下でなく、柔術家のブルーノ・プッチと戦った時は上久保選手の組みができていました。対して、フォークスタイルをやって、あのフィジカルと荒い打撃を持つウォーセンに自分の組みを創れるのか。
「プッチ戦は組んでからどうするかという話でした。今回は組んでからどうするかも当然ですが、どう組むのか。そこまでの過程を大切にしています。
必要なことは相手が想定しない距離で勝負すること。向うがテイクダウンを仕掛けてくるにしても、切るにしても本来なら練習ではやっていないような距離感で勝負しようとは思っています」
──練習は練習のなので、当たり合う。試合になると、そうではない戦いが必要になってきますね。
「駆け引きを仕掛けてくるのを無視していけるか。ある種、自分の試合をチェックしていればレスリングが強くても、簡単に組もうとは思わないんじゃないかと。
組みに自信があっても、相手の得意なところで勝負しないのがMMAだから。そこを前提に下がるなり、前進してくるなり……向うの想定の逆を考えて戦います」
──上久保選手は相手もそうだし、自分の拳の距離に少しでも居座らないで戦います。そこから組むのですが、ウォーセンはテイクダウン防御も優れている可能性は十分にあります。
「もちろん、テイクダウンを切られることは想定しています。3Rのなかで1度か2度、テイクダウンできるか。各ラウンドで1度テイクダウンできれば上々だと思っています」
──そこまで、ですか。そして倒してから、自分の組みを続けると。
「勿論です」
──そこに関してはフォークスタイルをマスターしていようが、フィジカル差があろうが自信を持っているということですか。
「壁と床があれば──フィジカルも才能も凌駕できる。抑え込めるんじゃないかと思っています」
──おお、頼もしいです。そうなると、おかしなタイミングでのストップだけは勘弁してほしいですね。
「求めるところは固めて動かさないのではなくて、動かしているけど自分の支配下に置くこと。コントロール下に置いて、攻撃し続ける組技ですね。そういう意味で、ONEのルールで戦うことで組み技は変わってきているとは思います。
抑え込んでいるけど、動いている。動かしているけど、逃げさせないという感じで」
──ONEルールはテイクダウンの効果はないのに、スクランブルで立ち上がる評価される。だから、簡単に下になって不利な位置からペチペチとパンチを打って、タイトにさせずに立ち上がると印象点が加算ということが多いです。
「その通りですね(笑)。倒されてもマイナスにならないのに、立ち上がるとプラスになる。だから少しの隙間で打撃を入れ、相手が動いても自分の形を続けて組んみつつ打撃を当てる。そこを考え練習を続けてきました。
固めることが抑え込みではなくて、相手をコントロールして封じ込める。自分が一方的に攻撃できることが抑え込みだと思っています」
<この項、続く>
■視聴方法(予定)
4月15日(木・日本時間)
午後9時30分~ ABEMA格闘チャンネル
■ONE TNT02中継対戦カード
<ムエタイ女子アトム級/3分3R>
ジャネット・トッド(タイ)
アン・リン・ホグスタッド(ノルウェー)
<ONE世界ライト級(※77.1キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]クリスチャン・リー(米国)
[挑戦者] ティモフィ・ナシューヒン(ロシア)
<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
シネチャグタガ・ゾルツェツェグ(モンゴル)
中原由貴(日本)
<フライ級(※61.2キロ)/5分3R>
キム・キュソン(韓国)
ワン・シュオ(中国)
<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
ミッチェル・チャマール(米国)
上久保周哉(日本)
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