【写真】ガードから相手の上半身を4つの技で回すダイヤモンド・コンビネーション を武器に、ブランドン・ロイヴァルは世界最高峰を勝ち残ることができるか(C)LFA
30日(土・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXでUFC ESPN09「Woodley vs Burns」が開催される。ラスベガスに戻ったUFC、そのメインは大会名にあるようにタイロン・ウッドリージルベウト・ドリーニョ・バーンズのウェルター級戦だ。
前UFC世界ウェルター級王者ウッドリーが再起戦で、ウェルター級転向後は破竹の3連勝中のドゥリーニョと対戦する今大会。当初の予定はプレリミとともにメインカードもESPN+で配信予定だったが、メインはESPNでライブ中継されることが決まった。
そのメインカードはウッドリードゥリーニョを筆頭にブラゴイ・イワノフアウグスト・サカイのヘビー級=ブルガリアブラジル対決や、マッケンジー・ダーンのママとして2戦目=ハナ・サイファース戦など5試合が用意されている。
さらにプレリミは6試合で、全11試合のラインナップのなかからプレリミで組まれたフライ級の一戦=ティム・エリオットブランドン・ロイヴァル戦に注目したい。チャンピオンのUFC進出率が6割以上、コンテンダーシリーズを経た場合と合わせると96パーセントのチャンピオンがUFC、Bellator、ONE、PFLといったメジャーにステップアップを果たしているLFAから、フライ級王者ロイヴァルがUFCデビュー戦を行う。
ロイヴァルは6月23日のダナ・ホワイト・チューズデーナイト・コンテンダーシリーズ2020で同じLFAで戦うジェローム・リヴェラと対戦が決まっていたが、このタイミングでUFCと契約を果たすこととなった。
対戦相手はTUF24決勝で扇久保博正を破り優勝し、そのままデメトリウス・ジョンソンに挑戦を経験しているエリオットだ。いってみればTitan FCからTUFを経てUFCに戻ったエリオットが、LFAからコンテンダーシリーズを経ずにオクタゴンにやってきたロイヴァルを迎え撃つ形だ。
ロイヴァルの強みは、そのアグレッシブな極め中心のファイトにある。スクランブル全盛のMMAにあって、ロイヴァルは下になることを厭わない。むしろテイクダウンを狙われると自ら下を選択するのがロイヴァルというファイターだ。背中をマットにつけるやいなや。オモプラッタやゴゴプラッタを仕掛けており、ここが外されても深く足を差し入れて腕十字、あるいは真正面から三角絞めと、行きつくしまを与えず一本を狙う。
このゴゴ、もしくはオモからの三角か腕十字という流れは自由に行き来することができ、、最終的に相手の右腕を腕十字で狙うことが多い。またオモプラッタからは足関節に移行するという選択肢もロイヴァルは持っている。
対してエリオットはスイッチ多用の組むための打撃から、徹底してシングルレッグやダブルレッグでテイクダウンを奪う。そしてスクランブルゲームからのバック奪取、あるいはギロチンでフィニッシュを狙いつつ、相手を削っていく。
これまでのロイヴァルならば、組まれても耐えることなく下を選択し、上に挙げた四つの技からなるダイヤモンド・コンビネーションで極めを即座に狙っていくだろう。ただし、彼が戦うのは世界の最高峰UFCだ。最終的に彼の狙いが右腕への腕十字であれば、エリオットはテイクダウンにし成功しても、右腕のヒジを外側に貼り、伸ばされないという対策は練って来るだろう。
下からの仕掛けを凌がれ、担ぎパスやハーフを許す展開に追い込まれると、ロイヴァルは苦しくなる。そこでも足を戻して、ディープハーフから上を取り返したり、スクランブルに持ち込む方法で、エリオットをどれだけ削ることができるか。ロイヴァルの下での消耗が、上から攻めるエリオットより少なければ、スタンドに戻って左ローでエリオットの前足を殺すという戦い方もある。
その結果、エリオットの踏み込みが甘くなれば組み力、テイクダウン能力は落ちる。そうなるとヒザ蹴りやヒジに加え、スピニングバックエルボーという飛び道具という武器が英ヴァルにはある。エリオットとしては打撃を見せてテイクダウン、そこからポジション&バックチョークかスクランブルでギロチン、タップを奪えなくても削り続けること。ロイヴァルとしては、相手の虚をつくほど動ける間の一本。ここを凌がれると、3Rを考えた選択肢があるのか。
スクランブルゲームの先にあるのは、エリオットのドミネイトか──それともスクランブルの終着点として、ロイヴァルがサブミッションで仕留めることが可能になるのか。最初のロイヴァルの仕掛けの是非で、試合の流れを占うことができそうだ。
■UFC ESPN09対戦カード
<ウェルター級/5分5R>
タイロン・ウッドリー(米国)
ジルベウト・ドゥリーニョ・バーンズ(ブラジル)
<ヘビー級/5分3R>
ブラコイ・イワノフ(ブルガリア)
アウグスト・サカイ(ブラジル)
<ウェルター級/5分3R>
ゲイブリエル・グリーン(米国)
ダニエル・ロドリゲス(米国)
<ライト級/5分3R>
ルーズベルト・ロバーツ(米国)
ブロック・ウィーバー(米国)
<女子ストロー級/5分3R>
マッケンジー・ダーン(米国)
ハナ・サイファース(米国)
<女子フライ級/5分3R>
ケイトリン・チューケイギアン(米国)
アントニーナ・シェフチェンコ(キルギス)
<フェザー級/5分3R>
ビリー・クゥアンティロ(米国)
スパイク・カーライル(米国)
<ライトヘビー級/5分3R>
ジャマハル・ヒル(米国)
クリジソン・アブレウ(ブラジル)
<フライ級/5分3R>
ティム・エリオット(米国)
ブランドン・ロイヴァル(米国)
<バンタム級/5分3R>
ケイシー・ケニー(米国)
ルイス・スモルカ(米国)
<バンタム級/5分3R>
クリス・グティエレス(米国)
ヴィンス・モラレス(米国)