【写真】2018年7月、GFGで佐々木郁也に勝利した時の後藤 (C)SUSUMU NAGAO/GFG
北海道の地下格を戦い、大学生となりキックのジムで地表に出てきた──後藤丈治インタビューPart.02。
北海道でもプロ生活、そして東京に出てきてからの日々について引き続き、後藤の話を訊いた。
<後藤丈治インタビューPart.01はコチラから>
──晴れてというと表現はおかしいですが、キックのジムに入り練習を始めたと。
「MMAへの憧れを持ちつつ、ほとんどキックボクシングの練習をしていて、パンクラス札幌大会でのMMAの試合と並行してキックの試合も出ました」
──キックの試合にまで!! それはプロの試合だったのですか。
「ハイ。2017年にBOUTでRISEのバンタム級で7位だった出口智也選手と戦い、キック2戦目だったのですが……番狂わせで判定勝ちできました」
──そのままキックでという気持ちには?
「そういう風にも言ってもらえましたが、やはりMMAが格好良いので。キックボクシングアカデミー札幌内にあるP’sLAB札幌所属選手として、MMAを続けました。P’sLAB札幌は自分がパンクラスに出るために、その名前を借りて活動をしてくれたという状況だったんです」
──また良い話ですねぇ。ところでキックの練習ばかりしていたということですが、その時のMMAの練習はどのような状況だったのですか。
「P’sLAB札幌は指導者がいなくて、所属も僕1人という状態でした。だから僕が会員さんの指導をする形で。寝技は全然できなかったです。壁レスを初めてやったのも2年ぐらい前で……」
──2017年まで札幌で試合をしていましたね。
「パンクラスでは札幌大会以外も、ディファの大会に出させてもらったこともありました。それと青森でGFGという大会にも出させてもらいましたね。地方在住の選手は試合を選ぶことはできないです。声が掛ると、全てをチャンスと捉えないと」
──東北の独立プロモーション、Global Fightingsports Gameですね。後藤選手はGrachanでバンタム級王者にもなった佐々木郁矢選手に判定勝ちし、これも番狂わせと言われています。札幌で練習をしていたのは、いつまででしょうか。
「8試合目まで……ですかね。佐々木選手に勝った後、ディファで米山千隼選手に負けました。米山選手に負けた理由はたくさんありますが、あの時に『このままじゃ勝てない』と思いました。もともと大学を卒業したら東京でMMAをやろうという気持ちもあったのですが、米山選手と戦ったことが決め手になりました。
あの試合に負けて、東京に行きたいと強く思うようになって去年の3月に大学を卒業し、練習ができる環境を探して東京にある会社に就職したんです」
──う~む、その辺りはそつないですねぇ(笑)。ではサラリーマンをしながら、練習をして試合に出ているということですか。
「ハイ。契約形態も特殊で、昼のプロ練習に参加できるようにしてもらっているんです」
──TRIBE TOKYO MMAに所属しようと思ったのは?
「卒業間際に東京に来て、色々と出稽古をさせてもらいました。その時に(若松)佑弥さんとか、自分と年が近い人が死ぬ気で練習しているのを、この目で見て『この人たちと強くなりたい』とメチャクチャ思ったんです。ここで生き残れたヤツだけが仲間になって強くなれるって感じて」
──なるほどぉ!! トライブで練習するようになり、どこが一番変わったと思いますか。
「一番は……練習と試合の乖離が無くなった感じがします」
──練習と試合の乖離、また他のトライブの若者たちとは一味違った返答です(笑)。練習での動きが、試合に出るようになったということですね。
「試合って特別なモノというのが、あったんです。非日常だと。でも青木さんも良く言ってくださるんですけど、『練習のための練習はするな』という……その意味がこの1年で理解できるようになりました。
特に組み技に関しては、本当に学ぶことが多かったです。壁を使ったエスケープとか、これまでできていなかったことですし。そういう点は凄く勉強になっています。組まれてゴチャゴチャと逃げるんではなくて、方法論が分かるようになったのは大きいですね。まだまだ全然足りていませんが……(苦笑)。
僕、練習でめちゃくちゃ弱いんです(笑)。上久保(周哉)さんとかめちゃくちゃ強くて、自分の皆にもそれぞれの強さがあって、日々『俺は弱い』と思い知らされています」
──打撃だけではどうでしょうか。
「打撃に関しても、練習ごとに今日は何をやろうとかとテーマを持って臨んでいるので、めちゃくちゃにやられることもあります。今日も結構やられました(笑)。
上手く凌ごうという練習なら、それはできると思います。でも、それだと練習のための練習になってしまいます」
──祖根選手に勝ったことで、次の試合が注目されています。あの試合をステップボードにしたいという想いは?
「正直、祖根選手に勝ったことでチャンスを頂けるんじゃないかと思っています」
──すでに5月31日の修斗で実現はしなかったですが、そのチャンスといえるオファーがあったと聞いています。
「あっ……ご存知なのですか……。僕は即答でやりたいと伝えました。実現はしなかったですけど……」
<この項、続く>