【F2W160】インヴァーテッドもスクランブルも強いタケット✖フォーク出身で下も強いコムズの一戦は──

16日(土・現地時間)、フロリダ州マイアミのフォー・アンバサダーズ・ビルディングにてグラップリングイベントFight 2 Win(F2W)160 が行われた。

レポート最終回は2020年グラップリング界の成長&注目株#01といっても過言でない、ウィリアム・タケットが、ヴァグネウ・ホシャの代役でフォーススタイル・レスリングがベースのジョン・コムズと対戦した一戦をお送りした。
Text by Isamu Horiuchi

<ノーギ/10分1R>
ウィリアム・タケット(米国)
Def. by 判定2-1
ジョン・コムズ(米国)

メインイベントにて注目の新星タケットと対戦予定だったヴァグネウ・ホシャが、直前で負傷欠場。急遽代打出場となったのは、アマル・エストンの黒帯ジョン・コムズ。カレッジレスリングにおいてNCWA(全米カレッジレスリング協会≠全米体育協会NCAA)オールアメリカンというバックグラウンドを持ち、昨年のノーギ・アメリカンナショナルズも制した29歳のグラップラーだ。

特筆すべきは、コムズは2019年2月のADCC西会海岸予選決勝にてタケットをギロチンで下していることだ。これ以来タケットは誰にも1本負けを喫していない。昨年躍進を遂げたタケットとしては、2年ぶりのリベンジマッチとなる。

試合後すぐに引き込んだタケットは、シッティングガードからすかさずコムズの右ヒザ裏を両腕で抱えると、引き寄せて崩してからシットアップして上に。が、シッティングを取ったコムズがすぐにギロチンで逆襲、回転して逃げるタケットから上を取り返す。

下になったタケットはすぐさまワキを指してスクランブルしてスタンドに。するとコムズがすかさず小外刈りでテイクダウンへ。それをタケットがギロチンで切り返すが、コムスはすぐに首を抜いく。ハイレベルな柔術とレスリングが融合した──流れるような攻防で、両者は序盤から観客を魅了したのだった。

再び下になったタケットは、軽量級柔術家のようなスムーズな動きからインヴァーテッドを作りコムズに絡むと、その右足を掴んで崩して足関節狙い。が、タケットの狙いを熟知したコムズは左足を中に入れることでロックを作らせず、足を抜く。するとタケットはすかさずボディロックからのテイクダウンに移行、再び上を取り返したのだった。

下になったコムズも、タケットに劣らず器用に足を効かせる。やがてその右足を引き出して肩に抱え、立ち上がってまたしても上を取り返す。その後もタケットはしきりにインヴァーテッドから崩しての足関節を仕掛けていき、防がれるとすかさず上に。

対するコムズもパスを仕掛けてきたタケットのワキをくぐって上を取り返す等、きわめてテクニカルで動きのある攻防が続いていった。

一進一退の応酬は、10分間両者譲らぬタイムアップ。判定は2-1、下からの足関節で極めを狙う場面がやや多かったタケットに上がった。

背中を軸にスムーズにマットを回転し、インヴァーテッドから足を絡ませる攻撃を主体にしつつ、チャンスと見るや上を取り切る力のあるタケットと、強力なレスリングベースを持ちながらも、下からも柔らかく足を効かせて各種のスイープや極めを狙えるコムズ。2021年最初のビッグイベントのメインは、2人の米国人選手が、北米ノーギグラップリングの技術的洗練を見せつけるものとなった。


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