【写真】さすがにこの瞬間にはグッとした。そして会見場は新チャンピオンが何を言っても許される──幸福感と達成感に満ち満ちていた(C)MMAPLANET
5月31日(日)に会場非公開のABEMAテレビマッチとして開催されたProfessional Shooto2020 #03。
同大会のメインで岡田遼が倉本一真を破り、修斗暫定世界バンタム級王座に就いた。一大学生がパラエストラ千葉ネットワークの門をくぐり12年、念願の世界のベルトを巻いた岡田はケージの中で修斗への想いを口にし、2メートルのソーシャルディスタンスが取られた試合後の会見でも王者になったテンションのまま共同会見に臨んだ。
──ベルトを巻いた気持ちを教えてください。
「長年の夢だったので、感無量です。言葉になりません。嬉しいです。めっちゃ嬉しいです」
──あのマイクは何日前ぐらいから考えていたのですか(笑)。
「アレは試合が終わってから、即興です……と言わせてください(笑)」
──試合前にトイレで練習している声がしていたとか……。
「アッハハハハ。緊張して、嗚咽していただけです(笑)」
──バックを取られそうなとき、ウィザーや頭を抱えて戦っていた。あの時はどのような精神状態でしたか。
「やっぱり凄い組み力でビックリしました。米国でも強いレスラーとやってきたけど、凄い圧力でした。そこは想定していたつもりなのですが、思っていた以上の組み力で化け物でしたね」
──セコンドの鶴屋さんからは『投げられて良いから』という指示がありました。
「実は作戦の一つで。投げられるのを嫌がっていて投げられると大ダメージですけど、ある程度分かっていて自分からちょっと行っちゃえば、そっちの方がダメージは少ないという練習はしていました。
投げられないことは大切ですが、もし形を作られると自分から投げられようと思っていました。鶴屋さんからあの指示があったことは、『あっ、チョット危ないな』というところだったと思います。だから、そこは頭に入れてこのまま作られたら、自分から投げられようと思っていました。でも、ギリギリのところで防ぐことができましたね」
(会見の横を通りかけた)青木真也 チャンピオンだったね。
「ありがとうございます!!」
青木 コメントで出したんですけど、チャンピオンってメインを締められることだから。チャンピオンだなって。
──バックを取られるかどうかの壁際の攻防のとき、自分か倉本選手かどちらが疲れるかと感じていましたか。
「正直、1Rと2Rはバックを許してコントロールされても良いと思っていました。あの時は僕のスタミナをロスしないことだけ考えていました。倉本選手は凄く力を使ってハァハァ言っているのが分かってので、無理に力を使った態勢を変えるよりもこのままで相手が疲れてくれれば良いなと思っていました。あえてチョット、あの態勢は『これで良いかな』と」
──行けると思った瞬間は?
「ギロチンチョークは完全に入っていました」
──力を使い過ぎたかと思いました。
「それは俺も思いました。疲れたかな?って。だから下で暫らく休んだんです」
──倉本選手のトップのプレッシャーは?
「ガードにいるときは全然大丈夫でした。バックと斜め後ろ、サイドバックにいるときは凄く強いので、ポジションによって圧力が違いましたね。袈裟固めに取られた時、返すことができましたし。袈裟固めとかは、まだちょっと教えてあげようかなって(笑)」
──あの形は師匠・鶴屋さんの首投げから必殺技の……。
「Vクロスですね。僕は鶴屋さんの袈裟固めを食らっているから、あの袈裟固めは倉本選手も鶴屋さんの指導を受けた方が良いです(笑)」
鶴屋浩 全日本3連覇だよ。何言ってんの(笑)。
「実際、あそこで返せたので」
──倉本選手はMMAファイターとして完成度が低いだけ、まだまだポテンシャルが高いと思います。これからは一緒に日本を引っ張っていくためにも、倉本選手はMMAファイターとしてどこを磨いていけば良いと思いますか。
「凄いポテンシャルです。UFCで勝っていくのなら、僕じゃなくて彼だと思います。でもグレコで3連覇して強いという想いはあるのでしょうが、もう少しMMAを……年下が偉そうなこと言えないですけど、もう少しMMAを覚えないとなって感じでした。それでもパンチとバックのポジションは本当に凄かったです」
──無観客での試合の印象は?
「いつも応援していただいて凄く有難いですけど、大歓声でセコンドの声が全然聞こえないんですよ。でも今日は無観客なので全部、鶴屋さんの声が聞こえました。セコンドの声がずっと聞こえて試合ができたのはキャリアで初めてでした。
僕は無観客を気にすることは何もなかったです。試合に関して言えば、冷静に指示が聞けて良かった。指示が聞こえていなかったから、劣性な場面が多かったのでちょっとパニックになってしまっていたかもしれないです」
──これからどんなチャンピオンになりたいですか。
「強く恰好良い、修斗のチャンピオンになりたいです。
──水を差すようですが(笑)、今日UFCのプレリミで勝利した同じバンタム級のケイシー・ケニーと戦うと、どうなると思いますか。
「いや、あの試合を見て──自分が試合をして、俺はまだまだなって。前に高島さんが『修斗のベルトを獲ったからなんや?』って言っていたのが分かります(笑)」
──それをここで言うというのが、腹黒さです(笑)。
「アハハハハ」