【写真】プライスは変則的ながら、前に出てくるファイター。ここは持ち味発揮の試合となるか。その距離とガードに注目してほしい(C)Zuffa/UFC
9日(土・現地時間)、フロリダ州ジャクソンビルのヴィスター・ベテランズ・メモリアル・アリーナで行われるUFC249で、ニコ・プライスと対戦するヴィセンチ・ルケ・インタビュー後編。
MMAファイターで数少ない至近距離、ガードを固めたタッチでないキックボクシングMMAを実践するルケは、フロント系のチョークも得意としている。
母国にある2つの土着コンバットスポーツを融合させたヴィセンチ・ルケの特徴だ。こんな時期の試合だからこそ、今戦えることを活かしたいというルケをもっと知って欲しい。
<ヴィセンチ・ルケ インタビューPart.01はコチラから>
──重ねてMMAではあの距離で戦い続ける選手はほとんどいません。
「ダメージのことを心配しているんだろうけど、それほどでもないよ。対戦相手の方がよりダメージを受けている。僕はベストを尽くしてきた」
──「これはMMAだから」というアドバイスもあったかと思います。
「確かにね。ちょっと危険だろうとは言われてきたよ。だかこそ、僕は接近戦ばかりでなく、ちゃんと距離を取って戦うスタイルもトレーニングしてきた。打っては外す。そこも十分にやっているよ。そうすることによって、自分の持つポテンシャルをより発揮できると信じている。特にね……前の試合が終わってから、真剣に取り組むようになったんだ」
──昨年11月にスティーブン・トンプソン戦では、距離を取るトンプソンに対し、詰めていくところでパンチを被弾することが多く、判定負けという結果になりました。
「トンプソンは距離を取るのが本当に上手くて、僕は詰めることができなかった。そして、彼は遠い位置から僕にパンチを当ててきた。距離を取ってくる相手に対し、どう戦うのか。いや、どう接近戦に持ち込むのかが、僕にとって課題になったんだ。だから、どちらの距離でも戦えるように練習を積んできた」
──実際に佐藤選手からは、練習ではできている。『でも試合だと、あの距離で殴り合っているんです』というようなコトを聞きました。
「アハハハ。どうして、そうなっちゃうんだよね。もう少し、頭を使う必要があるね(笑)。本当にトンプソン戦では学ぶべきことが多かった。あの試合から、自分の距離で戦えないなら、我慢する必要があることが理解できた。
自分の戦いができなくなった2R、ただ素早く動いて距離を詰めようとした。そしてトンプソンのカウンターの餌食になってしまった。我慢とフェイントで、相手を前に出せないといけない。成長した姿を試合で見せたいと思う」
──その接近戦ではテイクダウン・ディフェンスが重要です。
「そこはずっと、やってきたよ。ストライカーとして、僕は立って戦いたい。そして相手はテイクダウンを狙ってくることが多い。セハードMMAにはキューバ人のレスリング・コーチがいて、彼との練習でレスリングは以前より強くなったと思う。それに僕には柔術とルタリーブリもある。だから、すぐに姿勢を整えてダースやアナコンダ・チョークの態勢に入れるようにしている。対戦相手は簡単にテイクダウンを仕掛けられないはずだよ」
──アナコンダ・チョーク!! セハードMMAは柔術だけでなく、ルタリーブリも学ぶことができる珍しいジムですね。ヴィセンチがアナコンダで勝った時、これぞルタリーブリの真骨頂だと思いました。
「ルタリーブリは道着がないから、ノーギの蓄積が凄くありMMAに通じる部分が多いんだ。と同時に道着を着て柔術を練習することで、より繊細なテクニックを学ぶことが可能だ。この2つを融合することで、MMAにおける寝技の完成度はより高くなる。それに僕の柔術コーチはルタリーブリを学び、ルタリーブリのコーチは柔術を習っている。だから、セハードMMAでは柔術もルタリーブリも進化し、その両者からより良い寝技を指導してもらえるんだよ」
──まさにMMAですね。柔術✖ルタの抗争が遠い昔のようです。
「そうだよ。今は皆でトレーニングする時代なんだ」
──では、ニコ・プライスの印象を教えてください。2017年10月に戦いダースチョークで一本勝ちしています。
「確かに僕は勝っている。でも、関係ないよ。3年前の僕と今の僕は違う。ニコ・プライスだって、あの時とは違う。初めて戦うつもりだよ。ベストのニコ・プライスになってオクタゴンに上がって欲しい。そして、僕はベストのニコ・プライスに勝つ。とにかくアグレッシブな選手だから、僕も積極的に戦って、カウンターパンチを打ち込んで試合をモノにするよ」
──蹴り上げやボトムからの鉄槌で勝利するという、奇想天外な動きをどのように思っていますか。
「本当に変わっているね。彼がガードを取っても、一瞬たりとも気を抜くことはできない。危険な相手だよ。上を取っても、しっかりとガードを気にしないといけないね。
僕はチャンピオンになるために戦っているし、今はランクも13位だけど今年中にトップ5に入りたい。来年タイトルに挑戦するためにも、このタイミングで試合ができることを活かしたい。
この大会はとても困難な状況で大会は行われる。UFCが安全面に最大の注意を払ってね。ほとんどスポーツ界が動きを止めているなかで、勇気ある判断をしたんだ。だから、僕も試合を視てくれるファンに喜んでもらえるよう戦うよ」
──無観客試合に関しては、何か想うところはありますか。
「皆の声援が力になるから、残念だといえば残念だよ。でも状況に応じるしかないから。ファンがいないなかで試合っていうのは、ちょっとスパ―リングに似た雰囲気になるのかな。とにかく、ベストを尽くすよ」
──ヴィセンチ、今日は本当にありがとうございました。最後に日本のMMAファンに一言お願いします。
「今日はインタビューをしてくれて、ありがとう。日本は格闘技の母国だし、ヴィヴィから聞いている素晴らしいファンにいつの日か会いたい。できれば、試合を戦うために日本を訪れたいと思っている。そして日本のことをもっと知りたい。応援ありがとう!」
【Fight Prediction】
※ヴィセンチ・ルケ✖ニコ・プライスの──4月18日に行われる予定だった時点でも、試合予想はコチラから
■UFC249対戦カード
<UFC暫定世界王座決定戦/5分5R>
トニー・ファーガソン(米国)
ジャスティン・ゲイジー(米国)
<UFC世界バンタム級選手権試合/5分5R>
[王者]ヘンリー・セフード(米国)
[挑戦者]ドミニク・クルーズ(米国)
<ヘビー級/5分3R>
フランシス・ガヌー(カメルーン)
ジャイルジーニョ・ホーゼンストライク(スリナム)
<ヘビー級/5分3R>
グレッグ・ハーディー(米国)
ヨーガン・デ・カストロ(米国)
<ウェルター級/5分3R>
ドナルド・セラーニ(米国)
アンソニー・ペティス(米国)
<ヘビー級/5分3R>
アレクセイ・オレイニク(ロシア)
ファブリシオ・ヴェウドゥム(ブラジル)
<女子ストロー級/5分3R>
カーラ・エスパルザ(米国)
ミッシェレ・ウォーターソン(米国)
<ミドル級/5分3R>
ホナウド・ジャカレ(ブラジル)
ユライア・ホール(米国)
<ウェルター級/5分3R>
ヴィセンチ・ルケ(ブラジル)
ニコ・プライス(米国)
<フェザー級/5分3R>
ブライス・ミッチェル(米国)
チャールズ・ロサ(米国)
<ライトヘビー級/5分3R>
サム・アルヴィー(米国)
ライアン・スポーン(米国)